ついにGoogleが独自のWebブラウザをリリースするときがやってきた。Microsoftとの確執の中、何度も噂されては消えてきたプロジェクト、その名を「Google Chrome」という。WebKit、(Google )Gearsといったオープンソース技術をベースにしたこのWebブラウザ自身もオープンソースとして公開されるとみられており、さらには他のWebブラウザで搭載されている最新機能もふんだんに採り入れた技術の結晶となりそうだ。

「Google Blogoscoped」の9月1日のリーク記事

Google Chromeに関する情報は、技術情報サイトの「Google Blogoscoped」の9月1日のリーク記事を皮切りに、海外のさまざまなメディアで追加報道が行われている。Google Blogoscopedのサイトでは、漫画家のScott McCloud氏によるイラストでGoogle Chromeを紹介するコミック冊子のスキャン画像が掲載されており、最新Webブラウザの機能が一目でわかるようになっている。同サイトによれば、コミック冊子では「http://www.google.com/chrome」のURLが記述されており、これがGoogle ChromeのWebサイトとなりそうだ。追加取材を行った米Wall Street Journalによれば、Google Chromeはもう間もなく正式公開されることになるという。

Google Chromeでは、前述のようにWebKitGears をベースにしている。WebKit はAppleが開発を主導し、Googleなどが開発協力を行っているオープンソースのHTML描画エンジンで、一般にはAppleのSafariに搭載されていることで知られている。GearsはGoogleが開発したオフラインアクセス技術で、オンライン状態でなくてもWebアプリケーションを利用できるもの。また「V8」と呼ばれるJavaScript Virtual Machineを搭載しており、JavaScriptの高速動作を実現する。Googleによれば、V8はマルチプロセッサ環境に最適化されているという。

そしてGoogle Chrome最大の特徴と呼べるのは、独自のタブ制御と検索システムだ。従来のWebブラウザでは、タブはWebブラウザのウィンドウ内部に列挙され、ブラウザ内でページを切り替えて利用するイメージだった。Chromeではその関係が逆転し、タブがウィンドウの外側に配置され、ツールバーやアドレスバーの要素はすべてタブの内側に配置される。プロセスも独立して動いており、特定のタブのエラーが原因でブラウザ全体が死ぬことはなく、例えばOSから特定プロセスのみの終了を指示することも可能。また「Omnibox」と呼ばれる新型検索システムにより、アドレスバーに入力したキーワード(または文字)に準じた過去のヒストリ、人気ページ、Google Suggestionによる推薦だけでなく、自身が過去に利用した検索システム(例えばAmazon.comの商品検索など)を検索候補として利用できるようになる。

またセキュリティ機能も強力なものが装備されるようだ。フィッシングサイトやマルウェアを搭載したサイトのアドレスを記載したブラックリストを用意し、それをGoogle Chromeにダウンロードさせることで、危険なサイトへのアクセスを予防する。また前述のようにタブ単位でWebブラウザが独立して動作しているため、マルウェアの動作をタブ内部のサンドボックスで遮断でき、ウィンドウのポップアップを防止したり、システム本体への影響を与えないなど、安全なブラウジング環境を提供する。

Google Chromeについては、詳細がわかり次第追ってレポートしていく。