TeX Users Groupは8月31日、組版処理システムTeXディストリビューションの最新版「TeX Live 2008」をリリースした。約1.2GBのDVD ISOイメージファイルは、CTANおよびそのミラーサイト、ファイル共有システムのBitTorrent経由で配布される。

今回のリリースでは、pdfTeXを拡張した「LuaTeX」の最新版エンジンを収録。直接PDFに出力できるpdfTeXにOmega (内部処理を16ビット化しUnicode対応させたTeXの拡張版) の機能を取り入れたLuaTeXは、スクリプトの利用も可能な処理系であり、Windowsおよび各種UNIX系OSで動作する。

ほかにも、伝統的なmakeindexに代わる索引作成ユーティリティ「xindy」や、dvipdfmにおけるextractbb (図の大きさを指定するバウンダリーボックス生成用のコマンド) 相当の機能が追加されたdvipdfmxなど、パッケージの更新が行われている。

teTeXの時代から指摘されてきた、ASCII pTeXで使用する「platex」とポーランド語版LaTeXのplatexが重複する問題は、ポーランド語版の削除により解決された。今後ポーランド語版のLaTeXは、polskiパッケージにより提供される。

現在、日本語による組版に対応したTeX / LaTeXの実装はASCII pTeXが主流。しかし、pTeXは古いteTeXをベースとしているほか、世界的には内部のエンコーディング形式をUnicode / UTF-8化する動きがあるため、UTF-8で入出力する「upTeX / upLaTeX」など派生物を加えたTeX Liveベースの本語TeXディストリビューションが登場している。