東京・銀座にある百貨店・松屋銀座は今年の春より、屋上緑化作戦「銀座グリーンプロジェクト」の一環で同百貨店屋上で野菜の栽培を行なっていた。今月7日には、それらの野菜の収穫祭を開催。同じく銀座にあるホテル西洋 銀座の総料理長が収穫された夏野菜を使ってつくったカレーも振舞われ、都会における緑化運動を盛り上げる夏の屋外イベントとなった。

松屋銀座の屋上に設置された野菜園

坊ちゃんカボチャ、オクラ、トマト、ピーマン、ゴーヤなど11種の野菜が屋上で育てられている

銀座グリーンプロジェクトは、地球温暖化防止やヒートアイランド現象の低減、ボランティア活動をベースとすることで、環境意識と社内意識の向上などを目的としたプロジェクト。松屋銀座では今年から屋上緑化の対象面積を拡大し、5月には種・苗植え式を行なった。6月にはキュウリやナスを初収穫したという。

これまで野菜の種蒔きや苗植え、栽培に汗を流してきたのは、同プロジェクトのメンバーたち。メンバーは松屋銀座のボランティアスタッフ約30人から構成されている。そしてこのプロジェクトを進めていく中で、環境問題に対するスタッフの意識が向上したという。松屋銀座販売促進課・河野新平氏は次のように説明する。「できるだけエレベーターに乗らないで階段を使ったり、車に乗らずに自転車を使ったりと、スタッフそれぞれの日常が少しずつ変化してきました。肥料は最初に1回与えただけで、ほとんど無農薬栽培に近いかたちで育てることができました。秋には白菜といった冬野菜を植えて、次回は鍋パーティーなどを開催したいです」。

春から成長を見守ってきた野菜をいよいよ収穫。喜びもひとしおである

また同プロジェクトは、「銀座ミツバチプロジェクト」とも連動している。銀座ミツバチプロジェクトとは、銀座3丁目紙パルプ会館屋上でミツバチを期間限定で飼っている特定非営利活動法人(NPO)によるもの。ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系を感じるとともに、採れたハチミツなどを用いて銀座の街と都会の視線の共生を感じることを目的としている。銀座グリーンプロジェクトは、屋上に野菜を植えることで、蜜蜂が蜜を集める手助けになればという意図もあったとのことだ。このような動きに他の企業も賛同し、今回の収穫祭にはハウス食品や白鶴酒造がカレールーやミネラルウォーター、日本酒などを提供していた。

カレーの調理を担当したホテル西洋銀座の広田昭二総料理長

その後、今回収穫された野菜を使った夏野菜カレーがふるまわれた。カレーソースをかけたご飯に色とりどりの野菜がたっぷりとのせられている。調理を担当したホテル西洋 銀座の広田昭二総料理長は、「採れたての野菜は甘みがあり、風味が強かった。今回は素材のおいしさを味わって欲しかったので、あえて野菜を煮込まずに、トッピングするかたちにしました」とコメント。カレーソースで煮込んだのは、カットしたトマトだけ。トマトをたっぷり使うことで、野菜の旨味を引き立てる軽い味わいのカレーソースに仕上げたとのことだ。

カボチャ、オクラ、ナスなど5種類の野菜をのせたカレー。野菜の風味や食感を生かしたとのこと

松屋銀座コーポレートコミュニケーション部部長の武藤勝氏は、「都会のど真ん中で大事に育てられた野菜をみんなで味わう、ということに大変価値があるのだと思っています。銀座から少しでも環境意識を高めていければいいですね」と語った。今後は、秋野菜の種蒔きや苗植えを予定しているとのことで、今後このプロジェクトがどのように発展していくのか、非常に楽しみである。