2006年の厚生労働省の統計によると、がん、心疾患に続き、日本国内における死因第3位は、脳卒中。脳卒中は、脳の血管が急に破れたり、詰まったりして脳の血液の循環に障害をきたし、様々な症状を起こす疾患で、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血を合わせて「脳卒中」と呼ぶ。同じく統計によると、年間約12.7万人が脳卒中が死因で亡くなっており、うち6割が「脳梗塞」だとしている。また6割のうち5~10%が1年以内に脳梗塞を再発する危険性があるという(統計は2006年の厚生労働省発表より)。
そんな中、社団法人日本脳卒中協会とサノフィ・アベンティスは9月より、脳梗塞の再発予防の重要性を訴えるキャンペーン「NO梗塞NOリターン」を開始する。同キャンペーンは脳梗塞の患者や家族をはじめ、一般に向けて企画されたもの。全国で脳梗塞に関する正しい知識を得るためのセミナー「NO梗塞アカデミー」を開いていく。
同キャンペーンに際して5日に行われた記者会見では、社団法人日本脳卒中協会 理事長の山口武典氏が脳卒中および脳梗塞の現状を説明。
「脳卒中は、1980年まで死因の第1位だったが、高血圧を防ぐ製薬やCTスキャンの導入、再発予防薬(抗血小板薬)などにより、現在は死因第3位に下がった。だが、高齢化が進む日本において、患者の数は2020年には300万人にも上るのではないだろうか。このキャンペーンが脳梗塞の再発防止の啓発になることを願う」(同)。
また、聖マリアンナ医科大学 神経内科 教授の長谷川泰弘氏は「脳梗塞は再発性のある疾患だが、再発予防をすることで、再発の可能性をかなり抑えられる」と述べ、マスメディアやイベントを通じて、一般市民が再発予防に関する理解度を向上させることの重要性を訴えた。
同キャンペーンでは、「脳梗塞が再発性のある疾患」「継続的な治療の必要性」を認識させることを目的とする。セミナー「NO梗塞アカデミー」では"学校"のイメージで展開されており、1限、2限といった2部形式で講義を設け、脳梗塞やリハビリテーションについて学習する。最後の"ホームルーム"では、脳梗塞の再発防止に関する情報交換の場を提供していくとしている(一部変更あり)。
"学校"の校長先生には漫才師の島田洋七氏が招かれており、同氏の実体験に基づく脳梗塞患者の介護やリハビリテーションの大変さが話される予定だ。「NO梗塞アカデミー」は、9月28日にグランキューブ大阪にて「NO梗塞アカデミー in 大阪」、12月14日にウェルパルくまもとにて「NO梗塞アカデミー in 熊本」の開催が決定している。2009年には神奈川県での開催を予定(場所未定)。セミナーの定員は各回300~500名。申し込みについては8月5日現在、「まだウェブサイトなどでの申し込みは行っておりません。追って、リリースを配信いたします」(サノフィ・アベンティス広報担当)とのこと。