米Intelは8月4日(現地時間)、「Larrabee(ララビー)」の開発コード名で呼ばれるグラフィック用途向けプロセッサの概要を公開した。現行のクァッドコアや、次世代で登場するオクタコアのプロセッサを上回る数のコアを搭載した、メニイコアのアーキテクチャをベースにしている。その最大の特徴はコアの演算ユニットがプログラマブルな点で、従来の固定演算ユニットを多数搭載したGPUとは異なり、ほとんどのコアがx86をベースにした汎用演算ユニットとなっており、その挙動をソフトウェア的に自由に組み替えられる。同社はLarrabeeを「業界初のx86メニイコア・プロセッサ」と表現している。
今回の発表は、8月12日に米カリフォルニア州ロサンゼルスで行われるSIGGRAPH開催に合わせたもの。アーキテクチャの詳細についてはACMのサイトで論文が公開されている。Intelからコア数についてのコメントはないものの、第1世代のLarrabeeプロセッサは10数個程度のコアを搭載し、2009~2010年にかけて登場する見込みだ。各コアはインオーダの短い実行パイプラインとコヒーレントな1次キャッシュを持ち、独立したレジスタを持つ複数のスレッドを走らせることができる。SIMD演算を行うベクタ演算ユニット(VPU)は単精度と倍精度の浮動小数点演算をサポート。また汎用プロセッサの特徴を活かし、タスクスケジューリングや処理アルゴリズムなどをソフトウェアレベルで自由に設定することが可能となる。このほかコヒーレントなオンダイ2次キャッシュと固定演算ユニットを装備し、双方向のリング型ネットワークが各コアやコンポーネント間の通信を司る。これにより、少ない遅延でコア間通信が可能になると同社では説明する。
CPUとGPUの中間のようなアーキテクチャを持つLarrabeeだが、Intelによれば当初のターゲットはDirectXやOpenGLをサポートするようなグラフィック・アプリケーションが中心になるという。つまり、NVIDIAやAMDのATIがターゲットとしているようなミッドレンジ以上のGPU市場だ。将来的にはプログラマブルというLarrabeeの特徴を活かし、並列性の高い科学技術分野などのアプリケーションにも応用範囲を広げていく計画だと同社では説明する。