イー・アクセスとアッカ・ネットワークスは31日、事業統合に向けた戦略的業務・資本提携について合意したことを発表した。これにより、アッカ・ネットワークスは、イー・アクセスを対象に第三者割当増資を実施する。増資後にイー・アクセスが保有する議決権割合は45.3%となり、アッカはイー・アクセスの連結子会社となる。

同日、都内で記者会見が行われ、アッカ・ネットワークス代表取締役社長の須山勇氏、イー・アクセス代表取締役社長の深田浩仁氏らが出席した。

今回の提携により両社は、今後の継続的成長に向けた財務基盤の強化が可能となるほか、設備・業務の統合で事業規模を拡大、業務効率化による利益の最大化、競争力の維持・強化を図る。

イー・アクセス代表取締役社長の深田浩仁氏(左)、アッカ・ネットワークス代表取締役社長の須山勇氏(右)

イー・アクセスの所有するDSLの設備をアッカに約33億円で譲渡し、モデムレンタル・端末物流・カスタマーサポートなど設備の保守業務をアッカに統合。加えて、イー・アクセスはアッカに設備使用料を支払うことで引き続きDSLサービスを提供するといった提携内容となる。

両社合わせて契約数のシェアは、約22%(NTT東日本とNTT西日本を別事業者とした場合)となり、業界第2位のDSL事業グループになるとしている。イー・アクセスの深田社長は、DSL市場は縮小傾向にあると前置きしたうえで「現在DSL市場は、1,300万ユーザーを抱える巨大なマーケット。将来的には、1,000万ユーザー程度で推移すると確信している。2010年には、両社のシェアを合わせて全体の30%程度確保できればと考えている」と述べ、将来的にもDSL市場は一定の規模を見込めるとの見通しを示した。

また提携による今後5年間のシナジー効果として、アッカは、設備使用料・業務委託費により140億円の売上増、統合によるコスト削減で、アッカは60億円、イー・アクセスは10億円の利益増を見込んでいる。

今後の両社の方向性としてアッカの須山社長は、固定通信と無線通信の融合サービス(FMC)事業、MVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービス事業の強化に加え、次世代ネットワークのネットワークインフラを構築していくとし、「固定から無線、アクセス、バックボーン、端末すべてをカバーする総合的な通信事業者として業界の中で大きな地位を築いていきたい」と述べた。