他の社員がどこにいて、何をしているか一目でわかる

NEC社内では、内線電話は無線LAN機能を搭載した携帯電話 (デュアル端末) で受話する。オフィス内では無線LAN経由のVoIP端末として、外出時には通常の携帯電話として使用できるが、SIP機能によって社員の誰が在席しているか、通話中か、会議中か、外出中かなどのプレゼンスを携帯電話の画面上で確認することもできる。

他の社員がどこにいて、何をしているか一目でわかるプレゼンス

携帯電話を持って無線LANエリアに入れば、自動的にアクセスポイントによる位置情報が取得され、オフィスのどのフロアにいるのかプレゼンスに表示されるのだ。この機能とスケジュールと組み合わせることで、「電話をかけたい相手はいま接客中だ」などと判断できる。在宅勤務ではPCにソフトフォンをインストールしておき、ヘッドセットなどを利用することで同じように内線電話が使用できる。プレゼンスはPC画面上に表示される。

メンバーのスケジュール管理はNECのコラボレーティブウェア StarOfficeで管理

自宅ではソフトフォンを利用

またWeb会議によって、必要に応じてお互いの顔を見ながら会議を開催できる。複数人の参加や資料の画面表示・共有も可能で、業務に適した場所であればオフィス、外出先、自宅からを問わず参加が可能だ。

Web会議システムより自宅から会議に参加することも可能

在宅勤務は原則週1回

「テレワークトライアル」では、上司の事前許可を最低限のルールとしただけで、対象職種や業務、取得事由、取得頻度に制限は設けなかった。結果として、取得頻度は平均して月に1.7~2.1日、また取得理由には「客先への外出・出張時前後の時間の有効活用」や「集中作業を行う時」「育児・介護など家族の急病時」が一例としてあげられる。

トライアル評価結果では、在宅勤務実施者の74%、実施者の上司の48%が「オフィス勤務時と比べて生産性があがった」と回答した。また、「集中できる時間が増えた」(実施者の87%)、「通勤ストレスが減った」(実施者の70%)、「家族と過ごす時間が増えた」(実施者の43%)、「育児・介護の時間が増えた」(実施者の21%)などがあがっているほか、実施者の98%が「引き続きテレワークを実施したい」と答えている。今回の発表された在宅勤務の全社へ拡大は、この評価を受けて決定されたという。

トライアル評価結果

人事部 田中宏昌主任

今後の在宅勤務制度では、対象者を管理職や主任を中心に上司の事前承認を受けた者と限定し、個人情報や顧客情報などの機密事項を扱う業務を除くと定めた。また、本制度の利用は週1回を原則とする。取得頻度の制限は、トライアル結果および実施者・上司からの意見によるものという。また、「業務を遂行する上で、日常的なコミュニケーションは欠かせないことから、勤務場所はオフィスを基本とする考え方は変わらない」という、人事部の田中宏昌主任の補足もあった。内線電話やWeb会議、Webカメラなど社内コミュニケーションツールが、在宅勤務の利用者だけでなく、所属部署全体で日常的に活用されていることも条件の1つとなる。

社内のPCもシンクライアント化

現在、PCを利用した社外作業を行う社員は約3万人。NECでは今後、デモや客先プレゼンなどのやむを得ない場合を除き、すべてのPCをシンクライアントシステムに変更していく予定だ。在宅勤務の利用者にはノートPC型と据え置き型の2種類を用意し、職種や業務内容によって振り分ける。据え置き型には、NECが企業向けに提供する「UNIVERGEシンクライアント在宅勤務ソリューション」で提供している手のひらサイズのシンクライアント端末US110を採用した。

また、将来的には、定年退職者の知識の活用や、少子高齢化問題における人材活用などにも、在宅勤務制度を適用していく考えもあるという。「育児・介護や障がいなど各自の事情にあわせた働き方や、消費電力やCO2の削減などの環境問題は、すでに個人や国の問題ではなく、各企業の社会的責任となっている。在宅勤務制度がこれらを解消するわけではないが、個人の働きやすさや環境問題に真摯に取り組むことが、自社の成長につながると考えている」と、岩田主任がテレワークに対する考えを語った。