マイクロソフトはWindows Live メッセンジャー用に最適化されたWebカメラを「LifeCam」というブランドで製品化している。この「Microsoft LifeCam VX-5000」は11日に発売されたばかりの最新機種だ。上位機種の解像度には及ばないものの、ほぼ同等の付加機能を備える。5,600円(税別)という価格においても、LifeCamシリーズのミドルクラスに位置づけられる。さらに、多様な設置場所に対応するフレキシブルベースを採用するなど、従来製品にはないアイデアが与えられている。
マイク内蔵タイプのWebカメラ「Microsoft LifeCam VX-5000」。価格は5,600円(税別)。Windows Live Messenger、Yahoo! メッセンジャー、Skypeに対応する |
スタンド状態で側面を撮影 |
VX-5000は小さく、黒く、薄いボディに青いアクセントラインが入っている。このデザインだけでもマイクロソフトが提案する新しいコンセプトが伝わってくる。というのも、従来のマイクロソフト製のWebカメラといえば、NX-3000/6000やVX-7000のように「銀色の四角い小箱で機能本位かつビジネスライクなデザイン」と、VX-1000/3000/6000のように「球体で"ゲゲゲの鬼太郎"の目玉おやじのような趣味的デザイン」の2系統だけだったからだ。
VX-5000にはフレキシブルベースという平らな脚が採用された。この脚を曲げて机の上に置いたり、薄型ディスプレイを挟んだりできる。フレキシブルベースを伸ばして重ねた本に挟んでもいい。従来のWebカメラはビデオチャットを前提としており、ディスプレイ付近に固定する用途に特化していたけれど、VX-5000は多様な設置場所に対応する。防犯カメラや留守中のペットの様子を見るなどの使い方にもぴったりだ。座る場所が決まっている"目玉おやじ"に対して、こちらは神出鬼没の"いったんもめん"といったところだろうか。
液晶ディスプレイに固定 |
組み立て家具の隙間を使って固定した |
ビデオセンサーは30万画素で640×480サイズ、30fpsのビデオキャプチャーができる。このスペックは下位機種のVX-1000/3000と同じだ。静止画キャプチャーはVX-3000と同じ130万画素で撮れる。付属ユーティリティソフト「LifeCam ダッシュボード」と組み合わせて160×120、320×240モードでカメラ位置の移動が可能。下位機種にない機能として、最大3倍のデジタルズームが可能だ。さらに自動露出補正機能が付いていて、暗い場所でも認識しやすい映像を作ってくれる。
また本機では自動焦点機能が搭載されたので、ピントを合わせる操作は不要だ。スペック表による焦点距離は50cm~150cmで、ビデオチャットには充分な距離となっている。それ以上の距離でも見やすい画像を映してくれた。さすがに文字や顔の認識は難しいにしても、部屋の隅に置いたペット用トイレシーツの汚れは認識できた。外出時のペットの監視程度なら十分実用的だといえるだろう。
動画解像度に関してはVX-7000の200万画素、VX-6000の160万画素には及ばない。しかし、ビデオチャットや一般家庭での監視動画という点でいうと、解像度が大きいほどデータ容量が大きくなり、それなりのストレージも用意する必要がある。VX-5000の30万画素程度が個人宅での使用にとって最適だと思われる。
なお、下位機種のVX-3000のユーティリティソフトに搭載されていた自動フェイス トラッキング機能はVX-5000にはない。それがどの程度有効な機能だったかは筆者には分からないが、自動フェイス トラッキング機能を気に入っているユーザーは注意されたい。もっとも、VX-5000はいろいろな場所に置けるため、手が届く場所にあれば手動で位置調整はできるし、カメラ移動機能もあるので、それほど問題にはならないような気もする。
内蔵マイクの搭載もLifeCamシリーズの標準仕様だ。VX-5000もノイズキャンセル機能付きのマイクを搭載する。また、Windows VistaでWindows Live MessengerやMicrosoft Office Communicatorを使う場合は、エコーキャンセル機能も働く。筆者はテスト環境として2台のPCを並べており、両PCのスピーカーもマイクも近い環境だが、ハウリングや雑音もほとんどなかった。カメラ側にマイクを搭載していることで、ヘッドセットを別途購入する必要がなく、既存のスピーカーを使ったビデオチャットが可能だ。カメラ側の内蔵マイクは夏にありがたい仕様で、クーラーや扇風機の風を遠慮なく顔に当てても影響はないが、ヘッドセットでは風の音を拾ってしまう。