ホテルニューオータニ東京では、8月1日~31日の期間に、宿泊者限定の「ホテルニューオータニ見学ツアー」が用意される。

ホテルニューオータニの本館「ザ・メイン」。右手奥に見えるのは「ガーデンタワー」

同ツアーのコースは4種類。なかなか足を踏み入れることが難しいスイートなど、豪華な部屋を見学できる「客室見学ツアー」(火・水・金曜日、16時30分~18時)、約4万平方メートルもの広さを誇る庭園「日本庭園見学ツアー」(月曜日、10時~11時)、同ホテルが推進しているハイブリッドホテルプロジェクトなど環境に配慮した設備を案内する「エコロジー施設見学ツアー」(土曜日、16時~17時30分)のほか、皇居などホテル周辺の名所を巡る「朝のお散歩ツアー」(木・日曜日、7時30分~9時)となる。各ツアーとも参加無料で定員は12名まで。すべてツアー開始1時間前までの予約制となっている。今回はツアー提供前にして特別に「エコロジー施設見学ツアー」の案内をしてもらった。

ガーデンスイート。その広さ、開放感、雰囲気にはため息がもれるほど。宿泊料金は1泊1室21万円(1~2名利用)

ジュニアスイートもゆったりとした贅沢な空間が楽しめる。宿泊料金は1泊1室12万6,000円~15万7,500円(1~2名利用)

滝の近くでは、空気もすがすがしく感じられた。のんびりと佇む人も少なくない

「エコロジー施設見学ツアー」では、「地球環境への配慮」と「快適さ」の両立を目指した環境設備を案内してもらえる。オリジナルの新空調システムによるCO2排出量の削減や厨房排水の再利用、生ゴミの100パーセントを資源化するなど、業界に先駆けてさまざまな環境設備を導入しているという。普段入ることができない巨大ホテルの裏側が見れるというだけでも貴重な体験だ。

まず、宴会場「鶴の間」の屋上緑化として2000年に作られた庭園「ローズガーデン」からツアーはスタート。およそ2,000株の赤いバラが栽培されているこの庭園は、主に結婚式のときに利用され、一般客は立ち入ることができない。庭園の横には、レストランが管理しているハーブ園もある。

赤いバラの花が咲くのは、春から夏にかけてと秋の年2回

約30種類のバラを植えているので、開花の時期は少しずつ違っている

ハーブ類のほかにも、いろいろな野菜が栽培されている

続いて2007年にリニューアルされた「ザ・メイン」の地下2階へ。関係者以外立ち入り禁止のドアを開けると、豪華なホテルとはまったく別世界の機械室が広がっていた。さまざまなパイプが入り組んだ空間の奥には1,000トンのタンクがあり、夜間電力を利用して5度まで冷やされた水が貯蔵されている。これは冷房に利用される。

機械室には数多くのパイプが複雑に配されている。赤いパイプはスプリンクラー用

厨房などで使われる温水を貯蔵するためのタンク

迷路のような機械室を進んでいくと、「ザ・メイン」と「ガーデンコート」を結ぶ細長い通路に出た。ここはガス、水、電気、通信などのパイプ、配線が続き、まさにホテルの大動脈といえる場所。長さは約70メートルに及ぶ。

一度ホテルの廊下に出て、再び従業員用の入口へ向かう。裏側を歩いてくると、ドアの向こう側に突然、日常的なホテルの風景が広がることが不思議に感じられる。こんな感覚になるのも、このツアーならではのことだ。

ホテルの図を見ながら、山本さんにこれまでの経路などを説明していただく

「ガーデンコート」地下の中央監視室で、案内役の山本さんにホテルの平面図を見ながらこれまでのルートを説明してもらう。どこをどの方向に歩いてきたか今ひとつ理解できていなかったが、図を見れば一目瞭然だった。

また、4人家族を1戸として、ホテルニューオータニの規模を解説してくれた。電気は23000戸、ガスは17000戸、水道は2900戸、生ゴミは3300戸にそれぞれ相当するという。このホテルはひとつの町といっても過言ではない大きさだといえる。

この部屋の隣には、ガス自家発電システムがある。ホテルで利用している電気の3分の1は、この自家発電によるものだ。発電時の廃熱は蒸気となって有効利用されている。

ガス自家発電の制御システム。「ガス運転中」と張り出されている機械が稼動している

最後に、「ガーデンコート」から一度外に出て、「ガーデンタワー」1階に設置された生ゴミを資源化する「コンポストプラント」を訪ねた。ホテルから出されるゴミの約45パーセントは生ゴミで、その量は1日4,500~4,800キロにもなる。乾燥、発酵された生ゴミは、7日後に堆肥の原料となる。毎月生産される堆肥の原料は、約20トン。契約農家で米の栽培に利用されるなどしている。このシステムにより、年間3,400万円の生ゴミ焼却処分費が削減されたという。

この容器ひとつに約80キロの生ゴミが入っている。機械にセットし、上からゴミを処理機に投入する

7日間かけて出てきた堆肥。もともと生ゴミだったとは思えない姿になっている

耳にしただけではピンとこなかったハイブリッドホテルプロジェクトという言葉だったが、1時間半のツアーを終えてみると実感することができた。目で見るのはもちろんのこと、ボイラーの熱気、音など、五感をすべて使って体感したことは、印象に深く残っている。また、ひとつの町に匹敵するホテルを支える裏方の人たちの姿を見られたことは、さまざまなエコシステムを見学できたことと同じように貴重なことだった。

「エコロジー施設見学ツアー」の開催日時は、8月中の、毎週土曜日の16時~17時30分、「客室見学ツアー」は火・水・金曜日の16時30分~18時、「日本庭園見学ツアー」は月曜日の10時~11時、「朝のお散歩ツアー」は木・日曜日の7時30分~9時となる。各ツアーとも参加無料で定員は12名まで。すべてツアー開始1時間前までの予約制となっている。ちなみに「エコロジー施設見学ツアー」は子どもたちの自由研究の題材としても人気が高いという。

ここの堆肥を利用して収穫された米は、ホテルの社員食堂などに提供される

その他、夏のホテルニューオータニ東京の宿泊プランとしては、9月6日(土)までサマー宿泊プラン「SUMMER GORGEOUS ESCAPE 2008」を実施する。シティホテル最大級のアウトドアプールを無料で利用できるプランが3つ用意されており、都心にいながらリゾート気分を味わえるのが何よりの魅力だ。今年の夏は宿泊にプラスして、親子でホテルを"冒険"してみるのはいかがだろうか。