--デベロッパーによるXTensionsの開発状況はいかがでしょうか
2007年12月から日本語によるXTensions開発者向けトレーニングキャンプをスタートし、多数の参加を頂いています。以前はトレーニングキャンプも米国やインドで行っていました。しかし、もう一度本来の目的を見直し、パートナーとはWin-Winの関係を構築しようと日本国内での開催が実現したんです。QuarkXPressにとってXTensionsは、単なるプラグインではなくお客様の細かなニーズをサポートする重要なツールです。ソフトウェアは全般的に多機能化が進んでいますが、すべてのユーザーがそれらの機能を使うわけではありません。それよりも動作の軽さや価格の安さを求める方も多いでしょう。
QuarkXPress 8の開発では、「どの機能を入れるか」という議論を相当数重ねてきました。日本語組版機能一つとっても、これで十分という仕事があればまだ足りない部分がある仕事もある。エクステンションは、こうしたアドバンス部分で大きな力を発揮するのです。 QuarkXPressとしては、パフォーマンスが落ちるようなことはせず、軽くてサクサク動く操作感を重視しています。余談ですが、日本語版ユーザーがまっている「イージーコンポ」や「ルビマネージャー」も開発が進んでいると聞いています。QuarkXPress 8のリリースからそれほど時間を置かずに新バージョンが発売されるのではないでしょうか。
--QuarkXPress 8は旧バージョンのドキュメントをほぼ正確に開けられるだけでなく、パスポート版も不要になったと聞きましたが
新バージョンの発売のキーになるのが、旧バージョンとの互換性だと考えていたので、開発段階でかなり細かな検証を行っています。結果として、これまでに発売されたQuarkXPress 3以降のドキュメントすべてを開くことができますし、バージョン6形式での保存も可能になっています。
そして大きなトピックになるのが、パスポート版を用意せずに他のエディションのQuarkXPressで作られたデータを開くことができるようになった点でしょう。これまでQuarkXPressは多言語化されておらず、英語版で作られたものを日本語版で開くことはできませんでした。しかし今は時代が変わり、世界も狭くなりました。QuarkXPress 8では、海外で作られたドキュメントも日本語版で開くことができますし、また逆も可能です。
--国内市場のみならず、世界規模でソフトウェアの違法コピーの問題が大きくあります。この状況について、何か対策を練られていますか
これは弊社のQuarkXPressに限らず、ソフトウェアメーカーが抱える大きな問題です。弊社は今年BSA(ビジネス ソフトウェア アライアンス)に加盟しました。今後はこの問題にも取り組んでいきたいと考えています。
ヨーロッパ市場では、違法コピーユーザーを対象に販売を中止したプログラムを配布し、有償で最新バージョンに移行してもらう「アムネスティ・プログラム」を2007年に行いました。これはかなり効果があったと報告を受けています。日本国内でも2009年第一四半期を目処に何らかのプログラムを予定しています。
--Mac OS XでのDTP環境が成熟してからのリリースとなると、Adobe InDesignのユーザーも意識する必要がありますよね
バージョン6から8になるまでのかなり間が空いたため、すでにAdobe InDesignで仕事を進めていらっしゃる方も多いと思います。かつてはQuarkXPressユーザーだったが、Adobe InDesignに乗り換えられたという方も多いでしょう。海外ではソフトウェアメーカーのMARKZWARE社がInDesignデータをQuarkXPressに変換するXTensionsを発売しています。今後もしQuarkXPress 8日本語版用の製品が登場すれば、両方のソフトウェアを自由に行き来できますので、そういったものが出るのが望ましいですね。
また、今秋にはエンタープライズ向けの製品リリースも予定しています。QuarkXPress単体で見れば、Adobe InDesignと一騎打ちになるかもしれませんが、我々としては、QuarkXPress 8をきっかけに新しいソリューションをお客様に提案していきたいと考えています。価格、機能、パフォーマンスと目先の部分だけで対決するのではなく、あらためてDTP市場のMac OS Xへの移行を一緒に盛り上げていきたいですね。そして、何より、まずは会社として信頼回復に努めることが第一です。新しいクォークジャパンとQuarkXPressに期待してください。