--信頼はどのように回復していくのですか?
これはもう企業努力しかありません。信頼回復に効くマジックはないんです。持論ですが、「信頼回復は企業努力の鏡」だと思っています。お客様の声に真摯に向かい合い、迅速に対応すること、まず第一歩はここからです。そして、信頼を得るのと同時に、その維持もまた難しいことですよね。かつて、信頼していただいたお客様が不信感を持たれていることは重々承知しています。その上で我々としては、QuarkXPress 8でお客様に信頼していただけるソフトウェアメーカーであることをもう一度誠意を持ってお伝えしなければなりません。そして、一度得た信頼は決して裏切らず、維持していく方法を考えなければならないと思います。
--QuarkXPress 8の販売についてはどのような戦略で臨まれるのでしょうか。
まずは既存ユーザー、とくにQuarkXPress 3.3や4.1で作られた在版データを多く持っている方にアップグレードしていただくことが第一目標です。そのため、現在はQuarkXPress 3および4のユーザーを対象にQuarkXPress 6を2万790円で提供し、さらにバージョン8への無償アップグレードキャンペーンを実施しています(2008年8月1日以降のアップグレード価格は3万2,550円)。この無償アップグレードキャンペーンで、お試しでもよいので、まずは社内ワークフローでQuarkXPress 8を検証いただきたいのです。操作やトラブルに関するサポートは無制限で無償にて対応しますので安心してアップしてください。
その上で、8月からはアップストリームを対象にシフトしていこうと考えています。その一つが、アップル ストアでの販売です。これは過去なかった販売チャネルになりますが、個人ユーザーや学生の皆さんに大きくアピールできると考えています。また、サービスビューローとの協力プログラムも走り始めています。これは出力の安定性を検証していただくことが目的です。同時に、プリンタメーカーの販売チャネルにも協力していただき、主要なプリンタでの出力テストも行っています。
QuarkXPress 8日本語版の製品パッケージ。中央右に「8」と書かれいる文字は、中に納められているディスクにプリントされたもので、パッケージに開けられた穴から見えている。つまり、空箱ではなく本物であるという証だ |
--セミナーなども積極的に行われているようですね
現在は、QuarkXPress 8を紹介するセミナーを全国で開催しています。セミナーによっては、QuarkXPress 8のハイライトに加え、大日本スクリーン製のワークフローRIP「TrueFlow」など、出力周りとの整合性についても合わせて紹介しています。全国で約2,000人の来場者をお迎えしていますが、新機能に対して概ね好評を頂き、ホッと胸をなで下ろしているところです。
デザイン、出力、印刷と複雑な工程がある中で、最適なパートナーと協業できるようになりました。これで、今までQuarkXPressを使われていた方はもちろん、初めて使われる方にもQuarkXPressの良さをアプローチすることができると思います。こういった試みも実際にはプロダクトが良くないと仕掛けられません。今回、ようやく自信を持って、Mac OS X環境でお客様に満足いただけるプロダクトができました。QuarkXPress 8は、我々にとって全社を挙げて作り上げました。自信を持ってご紹介できるプロダクトです。
--過去を踏まえ新しく一歩を踏み出すのがQuarkXPress 8だという意気込みは伝わってきますが、社内の体制はどうなのですか?
実は、ワールドワイドでシニアスタッフの75%がこの数年で入れ替わりをしているんです。守るべき文化は踏襲しながら、変えていくべき所は臆せずに手を入れる。これが新しいQuark社です。もちろん、クォークジャパンも同様です。また、お客様に対してのサポートもより充実した内容を提供したいと考えています。まずはQuarkXPress 8の電話サポートを無償化します。次に、Webで公開してするバーチャルナレッジデータベースもさらに充実した内容に更新していく予定です。
その目的は、やはり市場からの声として、サポート力に重きを置いている方は多いですし、どう使えばいいのかわからない、きちんと出力できるか安心できない、ということでは購入していただけません。安心して使っていただける環境作りを出来る限りの方法で様々な情報を提供していきたいと思っています。