6年連続でランキングされている企業の共通点
一方、調査レポートでは、長期的な視点からの分析も掲載されている。それによると、6年間連続でランキングされた企業について調べた結果、ある共通点が浮かび上がったそうだ。その共通とは、経営トップが長年に渡って替わっていないことだ。
6年連続ランクインした企業の例として、以下の4社が挙げられている。
- Admiral Group (英国)
- Eli Lilly (スペイン)
- Middelfart Sparekasse (デンマーク)
- Unimerco (デンマーク)
今日の激化したビジネス環境ではCEOが長続きすることは珍しいが、上記の4社はいずれも10年以上、CEOが交代していない。UnimercoのKenneth Iversen氏にあっては、20年以上もCEOを続けているという。
CEOが長続きすることの利点として、安心して仕事ができることが挙げられる。CEOが短期で交代する企業の大きな問題は「変化が多すぎること」である。レポートには、「人は本来変化を恐れる動物で、変化は人の気持ちを不安定にし、自分の能力に疑問を感じさせる」とのコメントも掲載されている。
新世代のニーズに合わせた職場作りを
これら米国のIT企業を高く評価した背景には、欧州における従業員の世代交代もあるようだ。そして、欧州の新しい世代は、「オープンな文化」、「正直な双方向コミュニケーション」、「新しい仕事のしかた」を提供する職場を好んでいることがうがかえる。
Microsoftの例からもわかるとおり、テクノロジーの進化によって仕事のしかたは大きく変化している。特に若い世代の優秀な人は、テクノロジーを利用した新しい方法を取り入れるのがうまい。また、そうした労働環境の変化に伴い、「勤務時間ではなく、アウトプットで評価してくれる職場」が求められる傾向にあるようだ。このようなニーズに応えられる企業が、ランキングのトップにあがった米国企業なのであろう。
日本でも、企業価値の向上のため、「経営方法の見直し」、「成果主義の見直し」、「人材育成の見直し」と、さまざまな努力がなされているが、「企業文化、風土」を変えていくことの難しさはどの企業も身にしみて感じているのが現状であろう。今までの仕事のしかた、上司と部下の関係のあり方は、伝統と歴史が長ければ長いほど変えるのが困難である。しかし、事実として、団塊世代の退陣とともに入ってくる新しい世代の嗜好は、欧州の若者達とそれほど違わないのではないだろうか。今回の結果は、今後の職場のありかたを考えるうえで参考になるはずだ。