Web版ファイナンシャル・タイムズ紙において「100 Best Workplaces in Europe」と題するレポートが発表されている。同レポートでは、アンケート結果に基づき、優良な職場として認められた企業を大企業と中小企業に分け、ランキング形式でそれぞれ50社ずつ掲載。その分析も行っている。ここでは、大企業ランキングのレポートを基に、今求められている職場環境について触れていこう。
調査方法
まずは、100 Best Workplaces in Europeについて簡単に説明しておこう。
調査は、Great Place to Workにより実施された。同調査機関は毎年国別/地域別に同様の発表を行っている。欧州の調査は、ECのサポートのもとに2003年にスタート。当時のECは、欧州産業界の継続的な競争を維持しつつ、人々の生活の質が向上するような「優良な職場」をつくりあげることで、欧州ビジネス界を活性化したいと願っていたため、同調査が始まったとされている。なお、Great Place to Work Instituteでは、優良な職場を「従業員が周囲の人々を信頼し、自分の仕事にプライドをもち、仕事仲間と楽しく過ごせるような職場」と定義している。
調査は、大きく一般従業員用とマネージャー用に分かれている。一般従業員用は、信頼度を測定する(Trust Index survey)ためのもので、無記名で行われる。調査全体の3分の2がこちらになる。一方、マネージャー用は、文化に関するアンケートで調査全体の3分の1を占めている。
今年の調査には、欧州全体で1250社、130万人の従業員が参加。昨年度に比べ25%増という結果になった。この結果からは、欧州の企業が優良な職場として認められることをいかに重視しているかがうかがえる。優良な職場として認められれば、人材募集の告知にコストをかけることなく優秀な人材をひきつけられるなど、さまざまな場面で利益が得られる。
大企業トップ10の顔ぶれ
では、結果を見ていこう。大企業(従業員数500人以上)のトップ10は以下のとおりだ。
- Microsoft
- Cisco Systems
- 3M
- impuls Finanzmanagement
- WL Gore & Associates
- SMA Technologie
- Grundfos
- Roskilde Bank
- PricewaterhouseCoopers
ご覧のとおり、1位はMicrosoftで、以下、Google、Cisco Systems、3Mが続き、トップ4を米国の企業が占めている。
筆者がこの結果を見てまず感じたのが、「伝統と歴史を重んじる欧州の国々の従業員がなぜ、欧州にある米国企業を優良な職場と評価したのか?」という点だ。もしかしたら、欧州の職場に何か大きな変化が起きているのかもしれない、またその変化は日本に対して何か影響を与える可能性があるのだろうか――このような疑問から、調査レポートの詳細に踏み込んでいった。