WOWOWで現在放送中である人気海外ドラマの最新シリーズ『コールドケース4』(二カ国語版 毎週土曜 23:00~/字幕版 毎週水曜 23:00~)。製作総指揮は大物プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが務め、全米で高視聴率を獲得しているリアル・クライム・サスペンスだ。このたび同作のアフレコ現場を訪ね、日本語吹き替え版で、主演2人の声を演じる田中敦子(リリー・ラッシュ役)と、高橋広樹(スコット・ヴァレンズ役)にお話をうかがった。ドラマの見どころや役の魅力、アフレコ現場の雰囲気など、楽しいエピソードをたっぷりと披露してもらった。
「コールドケース」とは?
"未解決凶悪犯罪"のことを指す。原則的に殺人罪に時効のないアメリカでは、何十年も前の事件を、最新のテクノロジーを駆使して再捜査することも多い。同作は、回想場面に当時のヒットソングを使用するなど、事件当時の時代背景を細かなディテールまで再現する、濃密なヒューマン・ドラマである。
田中敦子 |
――本日、アフレコの収録現場を見学させていただきましたが、皆さんがとても楽しんで演技をされているように感じました。
田中敦子(以下、田中) : はい、たしかにそうですね。アメリカの撮影現場も、とても明るいらしいんです。WOWOWさんのWEBサイトから見られるキャストのインタビューでも触れられていましたけど、悲惨な事件を扱う話が多いので、現場は明るく楽しい雰囲気にしようと心がけているそうで、その姿勢は私たちにも共通しています。
――田中さんは、リリー・ラッシュという役についてどういった印象をお持ちですか?
田中 : 第1シーズンはすごく男っぽかったんですよ。髪もアップにしてましたし。前のシーズンの途中から髪を下ろすようになりまして、恋愛なんかどうでもいい感じで捜査に熱中していたのが、徐々に女っぽくなってきている印象がありますね。前のシーズンでは昔の恋人が出てきたり、今シーズンは、付き合っている彼と昔の恋人との間で板ばさみがあったりと、さまざまな恋愛のエピソードが登場します。でも、やっぱり美しくタフでクールで、私とは全然違いますね(笑)。
高橋広樹(以下、高橋) : そんなことはないですよ(笑)。
――リリー・ラッシュ役のキャスリン・モリスさんが来日した際にお会いしたそうですが、どんな方なんでしょうか?
田中 : リリー・ラッシュという役は、生い立ちが悲惨で、仕事一筋というクールな印象があるのですが、キャスリンはずーっとニコニコしていて、ほんとに素敵な方でした。日本でヒットしているのは、日本語版の声優の方々のおかげよ、とすごく喜んでくださいました。
高橋 : キャスリン・モリスさんが田中さんと会ったときに、「こんなに美しい人が私の役をやってくださっているの?」っておっしゃっていたそうですよ(笑)。
田中 : いえいえそんな(笑)。声が似ているとはよく言われますね。お互いにちょっとハスキー気味なんですが、そういった共通点があるのはすごく嬉しいです。
――高橋さんは、スコッティ・ヴァレンズという役にどんな印象を持っていらっしゃいますか?
高橋広樹 |
高橋 : ヴァレンズは、僕と実年齢が同じだという設定なんですが、彼は基本的に女たらしなんですよ。例えばリリーの妹だとか、配属されてくる女刑事だとか、必ずくっつくんです(笑)。第4シーズンではやっと落ち着いてきました。それから、殺人課の同僚であるヴェラがジョーク好きなんですが、ヴェラ役の石住さんはいつも素敵なセリフを投げかけてくださって(笑)、どうツッコんでやろうかなと考えるのはとてもワクワクしますね。もちろんヴァレンズの持つシリアスな面を演じることも頑張りたいです。殺人課の清涼剤のような存在になれればと思います。
――自分との共通点といったことも感じますか?
高橋 : そうですね。初登場は第1シーズンの第6話なんですけど、若くてエリートコースを歩んできた彼は、実力を先輩方に知らしめたいとやっきになるんです。でもうまく行かずに挫折して、それから徐々に殺人課になじんでいくんです。僕自身、殺人課の声優さんたちの中で最年少で、普段はアニメの吹き替えの仕事が多いため、先輩の胸を借りるという姿勢でなじんでいったのと共通していますね。またヴァレンズ役のダニー・ピノは舞台俳優なので、ドラマの経験が少ないはずなんですよ。なので、心の中で、下手な芝居すんなよ、ダニー! オレも頑張るから、って呼びかけることもありますね(笑)。
――また、このドラマでは、回想シーンがとても印象的に使われますよね。当時のヒットソングを流すなど、臨場感溢れる演出が魅力的です。
田中 : ヒットソングを流すという演出が著作権法に引っかかってしまうので、なかなかDVDを出せない理由でもあるんですが(笑)。
高橋 : 回想シーンの演出が、監督によって異なるのも見どころのひとつです。事件の容疑者のほとんどが亡くなっている時代を舞台にしているときもありますね。
キャスリン・モリスが演じるリリー・ラッシュ |
ダニー・ピノが演じるスコッティ・ヴァレンズ |
――ところで、アメリカでは事件に時効がないわけですが、今となっては時効成立、というようなお2人の失敗談がありましたら、お教えいただきたいのですが。
高橋 : 駆け出しの頃の話ですが、あるアフレコの現場で、すごく気合を入れてセリフを言ったところ、ベルトが切れ、ズボンがずりっと落ちてNGを出したことがあるんですよ(笑)。ある女優さんがバンダナを貸してくれたんですけど、巻いてはみたものの丈が短くて、ズボンを片手でつかみながら最後まで演じ切りました(笑)。アフレコ人生最大の危機でしたね。
田中 : 私は舞台をやっていたんですが、舞台袖に待機して出番を待っているとき、必要な小道具を持っていないことにハッと気づきまして。もうあせってあせって、探したら結局楽屋にあったんですけど(笑)、出番には間に合わなかったです。あとから何食わぬ顔で登場する私の姿が、DVD化されて残ってしまいました(笑)。
高橋 : それはまだ時効になってないんじゃないですか(笑)?。
――それでは最後に、ドラマをご覧になる視聴者の方に、メッセージをお願い致します。
高橋 : 第4シーズンになり、ますます悲惨な事件の割合が増えました。殺人課のメンバーが、たゆまぬ努力で事件を解決しようとする姿を、楽しくご覧いただければ幸いです。やっと家族愛に目を向け始めたヴァレンズの成長にも注目してくださいね。
田中 : 複雑な事件が増えるのと同時に、ラッシュなら恋のゆくえ、ヴァレンズなら兄弟と、個々のプライヴェートに焦点を当てる話も充実してきたので、そういった人間ドラマをぜひ楽しんでいただきたいです。
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