シャープ 代表取締役 副社長執行役員 商品事業担当 松本雅史氏 |
ワイヤレスジャパン2008の初日、シャープ代表取締役副社長執行役員で商品事業担当の松本雅史氏が「デジタルコンバージェンスを加速するシャープの移動体通信端末」と題した基調講演を行った。
松本氏はモバイル機器の市場規模について、2003年の時点では、携帯電話のほかPDAやデジタルカメラなどを含めても約3億台の市場規模だったが、2008年では携帯電話だけで12億強、他の機器も合わせると計16億台の市場に成長し、2010年には約24億台の市場規模が見込めると予測。モバイル機器を中心としたネットワークサービスなど、ユビキタスサービスが拡大していくとの見通しを示した。
同社では、創業100周年となる2012年に向けた指針として「世界No.1 の液晶ディスプレイで真のユビキタス社会を実現する」といったスローガンを掲げ、2008年を「新のユビキタス社会実現に向けた元年」として、携帯端末事業の展開を行うとしている。
主力商品である、液晶ディスプレイを、各種サービスやコンテンツとユーザーを繋ぐ"情報の窓"と位置づけ、通信/情報/映像機器がデジタルネットワークで融合し、いつでもどこでもネットワーク接続できる製品を提供し、ユビキタス社会を目指すとしている。
続いて松本氏は、同社携帯電話の液晶ディスプレイやカメラの進化の歴史を振り返り、今後大きく変わっていく部分として、ユーザーインタフェース(UI)を挙げた。「直感的なUIを搭載したモデルが増えている。今後、UIに関する注目度はさらに高まっていく」(松本氏)。UIを訴求する製品として、タッチパネルディスプレイ、タッチパッド式インタフェース「光TOUCH CRUISER」を搭載する「SH906i」を紹介した。
モバイル機器の今後の展開としては、携帯電話と家電やAV機器などとの連携を進めていくとしている。例として、同社の液晶テレビ「AQUOS」を利用したサービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS」との連携や、同社のオーブン「ヘルシオ」との連携、オムロンヘルスケアの体組成計との連携を紹介した。また、企業の持ち出しPC紛失による情報流失対策で、携帯電話から会社の情報を安全に活用できるセキュリティサービスの紹介も行われた。同サービスは近々に提供する予定だという。
松本氏は「機器の連携、技術の融合を実現するために、会社間や社内の壁を乗り越えて新しいものを産み出すチャレンジをしていく」と述べ、機器との連携を進め、新たな価値を創造していくとした。
このほか松本氏は、2008年の4月から6月までの国内携帯電話出荷台数が前年同期に比べて減少(前年比74%)している現状について、「割賦制の導入、販売奨励金の廃止により、エンドユーザーに心理的な影響を与えている」と言及。この傾向は国内の端末メーカーに加え、コンテンツ、ソリューション、デバイス分野など、移動体関連市場全体に波及し、「日本の市場だけで、28兆円規模の影響を与える」と懸念を示した。
松本氏は、この問題の打開策として海外市場への進出を挙げた。中国市場でのAQUOSケータイの好調な売れ行きについて触れ、「中国市場で、(シャープ製携帯電話が合計で)300万台~500万台売れていく可能性がある」とし、中国市場へ注力していくと語った。