7月24日は土用の丑の日。この日といえばうなぎを食べる習慣があるわけだが、土用の丑の日を前に18日には、東京・赤坂にて台湾産うなぎに関する記者説明会が行われた。うなぎの産地偽装問題や原産地表示違反の影響で、うなぎに対する消費者の信頼感が揺らいでいる中での開催とあって、品質面や安全性のPRに重点を置いた内容となっていた。
開催者は、台湾鰻魚発展基金会や台湾鰻蝦生産合作者聯合社、台湾冷凍水産工業同業公会、台湾鰻蝦輸出業同業公会、日本鰻輸入組合。説明会では台湾産の活うなぎも実際に用意され、水槽の中で元気に泳ぎ回るうなぎの様子が記者たちの目を釘付けにした。
説明会では台湾のうなぎ業界関係者が次々と日本語で挨拶。中でも台湾鰻魚発展基金会・薫事長の郭瓊英さんは、「台湾産ウナギは40年以上もの間、日本のみなさんに食されてきました。最盛期には、日本のうなぎ市場の70%を台湾産が占めていました」とその長い歴史をPR。さらに安全面の話では、「トレーサビリティ制度の実施に向けて動いており、うなぎを1匹ずつ検査して、輸出許可が下りたものだけを日本に輸出しています」と話した。
台湾鰻魚発展基金会・薫事長の郭瓊英さん。説明会の最後には、素手でウナギを掴んで記者団に笑ってみせた |
自然に近い環境で育った台湾産うなぎ
台湾鰻蝦生産合作者聯合社・総経理の徐崇仁さんは、「うなぎが養殖されている台湾南部は、亜熱帯気候で陽光に恵まれた土地です。うなぎ養殖に適した環境で、通常の10倍以上の水量の大きな露地池で、1年~1年半かけてゆっくりと育てているのが特徴です」と、放養密度が低いことなどを強調した。
養殖段階での薬物使用は極力避け、日本が禁止している薬を使ったかどうかは、生産履歴の証明書に明記されているので、輸出合格書が発行されない仕組みになっていることも説明。薬物残留検査についても詳しく解説した。
一方、日本鰻輸入組合は、輸入した台湾産うなぎを日本でも再度検査し、合格したものだけを市場に出回らせるというルールを敷いており、そもそも台湾産うなぎの違反率は非常に低いことを説明した。同組合副理事長の稲垣信起さんは、「台湾産のうなぎはハウスで養殖されるのではなく、露地の池で養殖されています。エサも1日に何度も与えて早く成長させるのではなく、1日1回のみ。自然に近い環境で育てているのが特徴です」とコメントした。
最後には参加した記者に、試食用としてうな重が配られた。台湾産うなぎを都内のうなぎ料理店で焼き上げたのだという。試食してみると、ふんわりとやわらかな食感で、適度に脂が乗っている。「台湾産うなぎ」がブランドとして確立される日もそう遠くないかもしれない、と感じる説明会だった。