Chumbyレポート集となる
「【レポート】Cooking Chumby! - (1)「Chumby」が日本にやって来る」
「【レポート】Cooking Chumby! - (2) 外付け無線LANを使って電波法違反を回避する」
もあわせてお楽しみください。
Cooking Chumby!の第3回は、Chumbyのハードウェア部分について分解レポートをお届けする。
すでにChumbyをお持ちの方も、さすがにこの愛くるしいケースを引き裂いて、中をのぞいてみようというのは気が引けるはず。それでも分解してしまう方は、よほどのハード好きだけだろう。そこで、皆さんに代わって、手持ちのChumbyを分解してみた。
Chumbyのハードウェアスペック
分解の前に、まずハードウェア構成を確認してみよう。
「Chumby」ハードウェアスペック抜粋(詳細はChumbyWikiを参照)
SoC | Freescale iMX21 |
---|---|
CPU Core | ARM926(350Mhz) |
メモリ | 64MB SDRAM、64MB NAND flash ROM |
ディスプレイ | 3.5インチ液晶(タッチスクリーン)、320x240(QVGA)、描画速度12fps 16bpp(65536色) |
タッチスクリーン | TI TSC2100 |
センサ | 握りセンサ(マイクロスイッチ埋め込み)、モーションセンサ |
インタフェース | USB 2.0(full-speed)×3(1ポートは内部で無線LANに使用) |
無線LAN機能 | 802.11g、Xterasys 3135G (Ralink) |
そのほか | レザー筐体、2W ステレオスピーカー、ステレオヘッドホン端子、マイク |
黒Chumby外観 |
基本的なハードウェアは、PDAとあまり変わらない構成だ。RAM容量にやや余裕がなく、握りセンサが付いているのが違いだろうか。
動画を再生させるには、ややCPUパワーが不足している。Freescale i.MX21には、MPEG4専用のハードウェアアクセラレータが載っているが、残念ながら、H.263/264には対応していない。LCDが12フレーム/秒までしか対応していないのも、やや弱いところだ。
スペックには出ていないが、ARM7コアの暗号化サブプロセッサSTMicro STR711FR0/1が積まれている。また、プロトタイプには照度センサが記載されていたのだが、製品版ではなくなっているようだ。日光や部屋の照明と連動する機能をあきらめたのは残念だ。
構成部品には、SoCや無線LAN、LCDなど、発熱が予想される部品がかなりある。Chumbyの本体は密閉されているので、放熱は前面の液晶部分から行われるようだ。実際、常時電源を入れているため、液晶部分はかなり熱を持っている。全体もほんのり暖かい。分解中に、放熱についても確認してみる必要があるだろう。
どこから分解したらいい?
さて、分解の覚悟を決めてChumbyを前にすると、まずどこから手を付けたらいいのか悩んでしまった。
一般的なハードウェアなら、ドライバを片手に構造を考えながら解体作業を始めるところだが、Chumbyには、外側にはネジはまったくなく、分解できそうな部分は、接着剤で貼り付けられた部分と、縫製の縫い目くらいしか見当たらない。分解修理のことはほとんど考慮されていない様子なので、どこからか壊す以外方法はなさそうだ。
壊すにしても、できれば少しでもきれいに、あとで現状に近い形に戻せるように壊したい。どこから手を付けるか、Chumbyをひっくり返して検討してみた。
底面の開口部からは、ビーンズバッグと化繊綿は取り出せそうだが、見えている基板や樹脂パーツなどは出す余裕がない。
背面の樹脂部分を取り外せないかと思ったが、接着剤だけで貼り付けられているわけではないようで、取り外しは難しそうだ。
最悪、縫い目をほどくことも考えたが、製造時に後縫いしていることは考えられないので、元に戻せそうになく、やめておいた。
一番妥当なのは、一番大きな開口部になる液晶部分を外すことだろう。合成ゴムと液晶カバーの樹脂の間は隙間が均一でないので、あきらかに後で付けられたことが分かる。樹脂パーツと、合成ゴムの間を広げていくと、少し剥がれてきた。どうやら、ここからならきれいに分解できそうだ。