NTTドコモは17日、健康管理機能を追加したシニア向け携帯電話「らくらくホンV」(富士通製)を開発したと発表した。体重や体脂肪率などのデータを読み込み、健康管理アプリを使って健康管理が可能になった。発売は8月を予定している。価格は24回の割賦払いで4万円弱程度になる見込みだ。
らくらくホンVは、3軸センサーを採用した歩数計、指でカメラに軽く触れるだけで脈拍が測定できる「かんたん脈拍計」を搭載。これまでの歩数計は2軸センサーだったため水平にしていると正しく計測できなかったが、3軸にしたことでどんな状態でも正しく歩数が計れるようにした。脈拍計は、内側カメラに指を付けることで15秒ほどで計測できる。
また、体組成計メーカー大手タニタの体組成計(BC-501)・血圧計(BP-300)で測定した体重・体脂肪率・内臓脂肪レベル・血圧などのデータを赤外線通信で端末に取り込み、日々の健康管理に役立てることができる。
赤外線は一般的な携帯電話に使われているものではなく、テレビのリモコンなどで利用されているもので、伝達距離が長いため、体組成計に乗って自然な状態でデータのやりとりが行えるようにしたという。携帯のアプリ側で身長や年齢を登録して赤外線を向けると体組成計が起動し、登録したデータを元に体重や体脂肪率などを測定してくれる仕組みだ。測定されたデータはアプリ側に取り込まれる。
なお、上記の機種は昨年の3月以来Web直販でのみ販売されていたモデルだが、今回のらくらくホンVの登場を機に量販店でも販売する。
プリインストールされた健康管理アプリ「健康生活日記」によって歩数計や脈拍計、上記体組成計・血圧計で測定した結果をグラフ化することも可能だ。また、タニタが運営する会員制のWebサイト「からだカルテ」とも連携し、登録したデータをサイトにアップロードできる。同サイトのサービスである個別の健康指導も受けられる。
基本機能としては、声を使ってメールの作成が可能な「音声入力メール」に対応。ヒンジ部のボタンを押したり、指を入れるだけで携帯電話が開けられる「オープンアシスト」機能を搭載する。
電話中に周囲が騒がしいと相手の声が聞き取りにくいが、声の周波数ごとに最適な音量に調整してより自然な聞こえ方を実現した「スーパーはっきりボイス2」を搭載。ホームのようなかなり大きな騒音にいても音声をクリアに聞き取れ、説明会のデモでは80デシベル(地下鉄の車内で窓を開けた時)程度の騒音下でも音声はクリアに聞こえた。
また、騒音下でも相手に自分の声が届きやすいように、マイクが周囲の雑音を極力拾わないように改善した「スーパーダブルマイク」を採用。2つのマイクで声を拾う範囲と方向を限定したことでかなりの雑音をカットできるようになったという。
前モデル「らくらくホンIV」に比べて画面のサイズを2.6型から2.8型に大型化し、輝度も30%向上させたことでより見やすくなったほか、半透過型の液晶を採用したことで屋外の日光下でも画面の見やすさが向上した。メールなどの行間も2ピクセルから5ピクセルにして読みやすくなった。
さらに手動での作業を減らす「おまかせ」機能を搭載。カメラで撮影した画像の暗い部分を自動で補正してくれる「おまかせ逆光補正」、騒音や揺れを検知して自動で着信音量をアップする「おまかせでか着信」、本体を傾けるだけで背面液晶のバックライトが点灯する「おまかせバックライト」などを備えている。
さらに、視覚障害者向けに日本点字図書館提供の録音図書(DAISY)コンテンツにも対応しており、例えば「河童」「あかね空」といったコンテンツを提供する。
ドコモのらくらくホンシリーズは、ニーズの多様化に応えて通話のみの「らくらくホンシンプル」からおサイフケータイやワンセグも備えた高機能な「らくらくホンプレミアム」まで、4種類のラインナップを提供。同社の執行役員・永田清人プロダクト部長によれば、らくらくホンシリーズはこれまで累計1,316万台を出荷してきた。
新モデルでは、これまでのユーザーの要望に応える形で機能を強化。「従来慣れ親しんだ(らくらくホンの)UI(ユーザーインタフェース)を踏襲しながら、(らくらくホンのテーマである)かんたん、親切、見やすい、あんしんの機能をさらに追求した」と永田部長。
特に「健康管理に大きく踏み込んで機能を付けた」(永田部長)ことが特徴で、「新たなチャレンジ」(同)であるとともに、基本機能の部分でもさらに改良を施した点を新製品のポイントとして挙げている。