「2Gに比べると、iPhone 3Gの設計でAppleはコスト削減にこだわったと考えられる」。米iSuppliは7月15日 (現地時間)、同社のTeardown Analysis ServiceがAppleの多機能携帯電話「iPhone 3G」を分解・分析したレポートを公開。8GBモデルの部品製造コストを174.33ドルと推測している。
2007年6月時点で同社が予測した初代iPhoneの8GBモデルの部品製造コストは227ドルだった。iSuppleの分析では、iPhone 3GでAppleは3Gネットワーク対応やGPSなどの機能を追加しながら54ドルのコストダウンを実現したことになる。「3Gワイアレスを(初代iPhoneに)付け足したのではなく、iPhoneの設計の進化として組み込まれている」とiSuppliのTeardown ServiceマネージャーのAndrew Rassweiler氏は指摘する。Appleの最大の目的は、ユーザー層の拡大を実現するための価格引き上げにあったと見る。例えば初代iPhoneでは10層のPCBが2枚用いられていたが、iPhone 3Gでは他のモバイルハンドセットで一般的に利用されている6層に変更され、1枚にまとめられた。コスト削減のための効率化が随所に見られるという。「それでも競合製品に比べて、ひときわ目立つ個性を失っていない」と評価する。
部品サプライアではInfineonを最大の勝者としている。HSDPA/WCDMA/EDGE対応ベースバンドチップ、WCDMA/ HSDPA対応RF CMOS、電力管理IC、GPSレシーバトライバンドHSDPA用LNA、GPS用LNAなどの主要部品を提供している。iPhone内にはAppleロゴが施されたチップがいくつか見られるが、iSuppliはデキャップしてほとんどのチップのサプライアを特定したそうだ。その結果、NANDフラッシュメモリのような一部の部品を除いて、現在出荷されているiPhone 3Gには同じベンダーから調達した同じ部品が搭載されていると見る。また「初代iPhoneのように内蔵バッテリをハンダ付けせずに、(バッテリ交換)サービスを提供しやすくしている」と指摘する。
174.33ドルの部品製造コストのほか、Appleが1台あたり約50ドルの知的財産利用コストを支払っているとiSuppliは推定しており、計224.33ドルがiPhone 3G 8GBモデルの原価になる。米国でAppleはAT&Tに1台499ドルで販売していると推測し、利益率を55%としている。