釣り好きにとって、魅力的な腕時計とはどのようなものだろうか? と考えていくと、防水性能はともかくとして、月齢や潮の干満を教えてくれるなど実践で役に立つことが条件であるといえるだろう。釣りに特化したフィッシングギア「PRS-400」など多彩な機能派ウオッチを揃えるカシオ計算機「PROTREK」シリーズの中から、今回はマッシブなデザインでオンタイムにもオフタイムにも活用度の高いアウトドアウオッチ「PRW-1500J」を検証したい。

樹脂バンドを採用した「PRW-1500J」。チタンムクバンドモデルも用意されている

PRW-1500Jでは、PRS-400シリーズ搭載の釣りに適した時間帯を知らせる「フィッシングタイムアラーム」や釣った日付や時刻をメモリーできる「フィッシュメモ」などは用意されていないが、水辺や山などのアウトドアシーンで幅広く活躍してくれる多機能ウオッチだ。釣り人にとって嬉しいのは、月齢や月の満ち欠けを知ることができる「ムーンデータ」と潮の干満を6段階で表示してくれる「タイドグラフ」の採用。どちらも釣り場の水位や潮の流れ、魚の居場所や補食活動に影響する情報なので、上手に活用すれば釣果に反映するはずだ。

釣り人向けの時計は防水であることはもちろん、衝撃に強く環境の変化にも対応するタフさが求められる

潮の干満は地域によってズレが生じるため、タイドグラフには満潮時刻を設定変更する機能も用意されている。釣りに行く前にポイントの満潮時刻を潮時表などで調べて設定しておけば、釣り場で正確な潮の状態を掴むことができるのだ。また、潮回りを大潮・中潮・小潮の3段階に分けて表示するのも特長。大潮の日は満潮時と干潮時の水位の変化が激しく、逆に小潮の日は水位の変化が少ないが、この時計は水位の変化をグラフィックで表すことで、釣りに最適な時間を知らせてくれるのである。

液晶パネル最下部に表示されている波形が、潮の干満と潮回りを示すタイドグラフ

満潮時刻の補正画面。実際の満潮時を待つことなく、好きな時にセッティングできる

さらに注目して欲しい機能に、気圧の変化をグラフで示す「気圧傾向グラフ」がある。天候に影響する気圧の変化はすべてのアウトドアシーンで有効な情報だが、釣りに関してはまた別の意味を持つ。体内に空気の入った浮き袋を持つ魚は、瞬時に気圧の変化に対応することができず、高気圧の場合は浮き袋に高い気圧がかかることにより沈み気味に、低気圧の場合は浮き気味になる。つまり、気圧の変化を知ることで魚の泳層を予測することができるのだ。

指定した日時の干満や潮回りを表示することも可能。液晶パネル上部に表示されている[27.2]という数字は、指定した日時の月齢を表す

他にも、釣り場の状態を判断する材料となる温度計機能や、自分で船を操船する場合や山間の渓流釣りなどで役立つ方位計測機能も搭載。20気圧防水に加えて-10度までの対低温仕様、そして電池切れの心配がないソーラー充電システムも過酷な自然の中での釣りには頼もしい。

何も考えずにただ釣れた1匹と、様々な情報を活用して釣った1匹では、その価値も楽しさも段違いだ。その意味でPRW-1500Jは、釣りに役立つとともに釣りを楽しくしてくれる時計と言えるだろう。