既報の通り、米Intelは15日(現地時間)にノートPC向けの新プラットフォーム「Centrino 2」を発表した。16日には日本でもプレス向け発表会が開催され、メーカー各社から国内での投入を予定しているノートPC新製品などが披露された。
Centrinoが初めて「2」に
IntelのノートPC向けプラットフォーム「Centrino」は2003年に初めて登場した。以来、プロセッサやチップセットなどの構成要素を毎年のように更新しており、「Centrino 2」(コードネーム:Montevina)はその第5世代目となる。5世代目にして初めて"2"になったわけだが、吉田和正・インテル代表取締役共同社長は「"次世代"を意識した名前。フルHDの再生など、これまでできなかったことができるようになっている」と述べており、発表会でもHD対応についての説明が目立った。
IDCの調査によれば、2001年のノートPC市場は全体のわずか21%でしかなかった。しかし、Centrinoの登場を機にシェアは増加し続け、2007年では42%にまで達している。2008年は47%になり、2009年には51%と、ついにデスクトップPCを逆転。2011年は55%と、さらに差を広げると予測されている。最初のCentrino 2が担う2008年~2009年は、ノートPCとデスクトップPCのシェアが逆転する、まさにターニングポイントと言える年になりそうだ。
今後のノートPC市場を牽引するものとして、同社が期待するのがBlu-rayなどのHDコンテンツ。Blu-rayコンテンツの総タイトル数は、2008年の900超から2011年には7,000超になると予測されており、HD DVDとの規格争いにも勝利した今、家庭にも急速に普及すると見られている。「HDのコンテンツがネット上でどんどん配信され、高速の無線インフラや光ファイバーで家庭に入ってくる」と吉田社長。HD再生に必要なパフォーマンス、長いバッテリ駆動時間、高速なワイヤレス接続などをプラットフォームレベルで実現することで、HD普及の波に乗る考えだ。
内蔵グラフィックが強化
Centrino 2の詳細については、及川芳雄・インテル技術本部長から説明があった。まずプラットフォームの構成要素についてだが、これはCPUが45nmプロセスのPenryn世代、チップセットが「モバイル インテル 4シリーズ Express」ファミリ、ワイヤレスが「インテル WiFi Link 5000」シリーズとなる。これらの内容については、過去記事を参照。
チップセットには、グラフィック機能内蔵のIntel GM45 Expressがラインナップされているが、前世代に比べて「2倍の3Dパフォーマンスがある」と及川本部長。内蔵グラフィックのみでHD再生が可能になっており、Blu-rayロゴも取得したという。もちろんこれまでと同じように、Centrino 2でもハイエンド機にはNVIDIAやATI(AMD)の外付けGPUを搭載するモデルが多いだろうが、内蔵グラフィックのみのメインストリーム機でもHD再生が可能になった意義は小さくないだろう。
内蔵グラフィックのみということで、HD再生時の省電力性もアピールされており、デモでは、Blu-ray再生機とノートPC(どちらもソニー製)を使った消費電力の比較が行われた。再生機は40数W程度であったのに対し、ノートPCの消費電力は、外部モニター使用時でわずかに17~20W程度。ノートPC本体のモニター使用時でも25~30W程度となっていた。もちろん、バッテリ駆動にしてもコマ落ちなどは見られなかった。
また、コンシューマ向けのCentrino 2と同時に、企業向けの「Centrino 2 vPro」も発表されているが、こちらは「クライアント主導リモートアクセス」(CIRA)」などが新機能。イントラネット外のクライアントPCに対してもリモートで管理することが可能になっている。またAMT(アクティブ・マネジメント・テクノロジ)は最新の4.0をサポートしており、ワイヤレス接続されたPCがスリープ状態でもリモート管理が可能だ。