7月1日、全都道府県で成人識別カード「taspo(タスポ)」をはじめとする、成人識別装置によるたばこ自動販売機の運用がスタートした。4日、財務省は成人識別装置に顔認証方式も認可し、その選択肢は3つに増えた。とはいえ、数が多いのは圧倒的にタスポ。出揃った3方式を管理する各社に本誌は取材を試みた。
まず、運転免許証による成人識別装置を販売する松村エンジニアリング。10日現在、全国で300~400台稼動しており、一台あたり13万8,000円という安価も手伝って好評を得ているとのこと。嬉しい悲鳴をあげていた。「7月末に累計出荷台数が650台に達する予定です。現在、注文を受け付けていますが9月までは生産がおいつかないため、出荷時期のメドが立たない状況です。」(松村エンジニアリング)
中には、たばこ自動販売機から現在取り付けられているタスポを自ら取り外し、こちらの成人識別装置を取り付けている人もいるという。「お客様からは、タスポを取り付けていた時は売上が下がったが、こちら(運転免許証による成人識別装置)は売上が落ちなかったという声が届いています。」(松村エンジニアリング)
次に、7月4日に財務省に顔認証方式による成人識別が認められたフジタカ。この販売機は、昨年11月より販売。6月末の段階で約5,000台が稼動していた。旧バージョンでは写真で顔認証を通過してしまうという事象も認められたが、「生態認証も採り入れた新バージョンではそのようなことはない」(フジタカ広報)とのことだ。
「7月4日を境に、注文が殺到している状況で、10月末までの目標出荷台数を1万台から2万台に上方修正したところ」(フジタカ)と、こちらも強い手ごたえを感じていた。「成人識別装置がつかない自販機からや別方式からの買い換えだけでなく、タスポ方式に加えて買い増しを希望される方もいらっしゃいます。」(フジタカ)
そして、気になるタスポ方式については、発行元の日本たばこ協会を取材。未成年者喫煙防止対策室が取材に応じた。「7月5日現在、タスポは6,829,530枚の発行が完了しています。これは、推定喫煙人口に対して26.2%で、6月25日よりやや上昇しています。現在、申込みをされており、発行前の段階の方はこの数字には含まれていませんし、大々的に行っている発行キャンペーンでも手ごたえは感じています。まずまずの数字と言っていいのではないでしょうか。」(日本たばこ協会未成年者喫煙防止対策室)
最後に先日、国内大手たばこメーカーであるJTに取材した際、「(8月開始を目論まれている)たばこ自販機の深夜稼動についての判断は、タスポの成功ありき」という回答があったことをぶつけてみた。協会としては、何をもってタスポの成功ととらえるのだろうか。
「これまで、たばこメーカーや自動販売機メーカーなど、業界をあげてタスポに取り組んできた非常に長いプロセスがあります。未成年にたばこを吸わせないことを目的とした、非常に先の長い地道な取り組みなのです。開始と同時に、すぐにタスポの発行枚数や普及率が上がらずとも、成功か否かを判断する材料にはならないと考えています。」(日本たばこ協会未成年者喫煙防止対策室)