Booksベストセラー週間総合ランキング6月27日~7月3日では、1タイトルが新登場でトップテン入りしたほか目立つ動きはなかった。一方部門別ランキングでは、単行本フィクションに『スカイ・イクリプス』(森博嗣)、『ラスト・フレンズ』(浅野妙子・百瀬しのぶ)、『100%LOVEジュース(上・下)』(愛子)の3タイトルが新登場し、動きが大きくなっている。

6月27日~7月3日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
2位 A型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
3位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
4位 心と体のほんとうの関係。 大川隆法
5位 AB型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
6位 おつまみ横丁(池田書店) 瀬尾幸子/編集工房桃庵
7位 悩む力(集英社) 姜尚中
8位 察知力(幻冬社) 中村俊輔
9位 明日もまた生きていこう(マガジンハウス) 横山友美佳
10位 情報は1冊のノートにまとめなさい(ナナ・コーポレート・コミュニケーション) 奥野宣之

単行本フィクション部門の4位にランク入りした『スカイ・イクリプス』(森博嗣)は、著者の「スカイ・クロラ」シリーズの最新刊。同シリーズは架空世界を舞台に戦闘機乗りたちの織り成すドラマを描く作品。この世界では「戦争法人」が戦争を代行するが、作中では戦況やその背景はほとんど描かれず、パイロットたちを中心に淡々と話が進む。同シリーズは8月にアニメ映画として公開されることが決まっている。

同部門8位に入った『ラスト・フレンズ』(浅野妙子・百瀬しのぶ)は、同名のタイトルで4月~6月にフジテレビ系列で放送されていたドラマのノベライズ。DVや性同一性障害、セックス恐怖症といった問題や悩みを抱える若者たちの姿を描いたドラマは平均17.7%の視聴率を獲得するなど話題を呼んだ。

同部門9位にランク入りした『100%LOVEジュース(上・下)』(愛子)は、ケータイ小説の書籍化。ドジな女子とモテモテな男子、2人の高校生が繰り広げるラブコメディ。最近ではケータイ小説がランキング入りすることも珍しくなくなっており、意外に本を買って読む若い世代が少なくないことを裏付けている。

注目は単行本ノンフィクション部門の8位に新登場で入った『ブスの瞳が恋されて』(大島美幸)。いじめられていた小学校時代からのつらい過去と放送作家の鈴木おさむと出会ってからのハッピーな人生がユーモアたっぷりに描かれており、スピード感あふれる文章で一気に読ませる。

今週の注目

てのひら怪談(ポプラ社/加門七海・福澤徹三・東雅夫 編/税別1,200円)

夏を涼しく過ごすためのひとつの方法として、怪談を語るというのが昔から行われてきた。有名なのは「百物語」。怪談をひとつ語るごとに100本のろうそくを1本ずつ消していき、すべてのろうそくを消した時に何かが起きると伝えられる。だが、さすがに実際にやってみようという人はいないのではないだろうか。そもそも怪談を100個も集めるのは大変である。

その大変なことを実現したのがこの本。昨年夏に開催された「ビーケーワン怪談大賞」の応募作の中から、100篇を収録した。作品はすべて800字以内。本では見開き2ページにあたる。一篇が短いためついつい次々とページをめくってしまい、気が付くと読者はいつの間にか不思議な世界に入り込んでいる。作品の中には「怪談」という語から普通にイメージされるストレートな怖さだけでなく、奇妙さや不条理さを感じさせるものも少なくない。「考え落ち」のような恐怖がじわじわとくる作品もある。100篇を読み終わった時には、言葉の持つ力を存分に感じることができるに違いない。体感温度も少し低くなること請け合いだ。

ところで、実際に「百物語」を行う際には本当に何かが起こってしまっては困るため、99話でやめておくのだという。この本に収められている怪談100話をすべて読むかどうかは読者次第。怖いもの見たさでぜひ挑戦していただきたい。