現代のコンピュータは、すでに計算機の枠に収まらず、あらゆるメディアを表現する「表現機」の様相を呈していますが、しかし、その根源は単純な算術計算を目的に設計された計算機です。たまたま、コンピュータは記述可能なあらゆるモデルをシミュレートし、再現する能力を持っていたため、現在のメディアとしてのコンピュータが発達したのです。コンピュータ上でシミュレートとされるテキスト、グラフィック、サウンドなど、あらゆるメディアの原始的な姿は値です。本稿をご覧になっている読者の皆様は、コンピュータ上のあらゆるデータが2進数であることはご存じでしょう。

C言語のようなプログラミング言語で扱うデータも、その中身は2進数の値です。あらゆるデータは 1バイト(8桁)の2進数を羅列したものにすぎませんが、そのままでは扱いが厄介です。そこで「型」という考え方が登場します。型は、操作対象のデータがどのような性質や構造をもっているかを論理的に区別するために用いられます。同じ2進数の値でも、それが整数を表すのか、文字を表すのかによって扱いが変わってきます。

例えば、"A"という文字はASCIIコードで65という値に対応しています。この値が文字型であると指示することで、コンピュータは65という値をAとして表示します。Aという文字の中身は65という整数ですが、型を明示することによって、それが数なのか文字なのかを区別できます。

定数と型

ソースコード内に記述される、直接の値を定数と呼びます。10や100といった値は、動くことのない固定された値であり、何度プログラムを実行しても、その値の評価が変わることはありません。こうした定数の扱いも、プログラミング言語では細かく規定されています。そして、定数にも型が存在します。定数の型は、大きく次の3つに分けられます。

  • 整数型
  • 浮動小数点数型
  • 文字型

整数は、少数部を持たない値のことで、10や100といった定数は整数型に属します。浮動小数点数は、整数部と少数部からなる値で、1.0や3.14などは浮動小数点数型の定数となります。最後の文字型は 1 文字を表す定数で、前述したように中身は値ですが、コード上は文字として表現することができます。文字型の定数は引用符で囲み'A'や'B'というように記述します。

Visual C++ 2008 Express Editionのインストールや設定方法については「ゼロからはじめるC言語 - 環境構築編」を参照してください。