欧州委員会(EC)が域内のオペレータに対し、携帯電話やPCカードを利用したデータサービスおよびSMSの利用に対する国際ローミング料金の値下げを呼びかけている。昨年導入した国際ローミング料金の通話における規制を、データに拡大する可能性も出てきた。
ECは6月27日(ブリュッセル時間)、SMS/データ通信における国際ローミング料金に対する消費者の意識調査結果を発表した。それによると、
- ローミング料金が高い
- 料金が不透明
の2つの理由により、ビジネスユーザーや一般ユーザーは自分の携帯電話やPCカードを利用しての海外でのデータ通信利用に後ろ向きになっているという。
ECでは、データローミング調査の結果として、
- 高い料金
- 卸売価格の低下
- ローミング向け定額制の充実
- 透明性の欠如
の4点をトレンドとして挙げている。
技術の進展により、固定ブロードバンドに劣らないレベルの高速な無線ブロードバンド技術が実現しつつある。しかし、データローミングの卸売価格はそのような技術的進化を反映したものではなく、引き続き実際のコストに比べると高いという。
卸売価格そのものでは、オペレータの多くがローミング契約をしているオペレータに対し、データ量レベルをいくつかの段階に分けた価格体系を用意しているという。この場合、オペレータは大容量を利用するヘビーユーザーに対しては、実際に提供するローミング料金(小売価格)を下げられるのではないか、と指摘している。ユーザーは、自分の国で利用する場合と比べてかなり高くなることから、海外での音楽ダウンロードやビデオストリーミングの利用を避けているという。
ローミング向け定額制は、月額ベースや日額ベースでバンドルを事前に購入することで、従量課金ベースより割安でデータ通信を利用できるサービス。オペレータの多くが採用をはじめており、現在、1Mバイト当たりのデータ通信の平均価格は0.24ユーロ(約40円)という。
透明性の欠如については、「深刻な問題だ」としている。消費者の多くは、ローミング料金価格と実際に利用したデータ量の両方を把握できないことが多く、その結果として利用に注意深くなっているという。
EUは2007年6月末、通話を対象に域内国際ローミング料金規制を導入、オペレータはEUが定めた「Eurotariff」か、それ以下の料金を提供することが求められている。この際、EC情報社会・メディア担当委員のVivienne Reding氏は、データ通信およびSMSについても同様の規制導入をにおわせながら、まずはオペレータが自主的に下げるのを待つ姿勢をとった。今年2月、Reding氏は、オペレータに対し、7月1日までに自主的に料金を下げるよう警告を出していた。