パイオニアは、400GBの大容量をもつ再生専用光ディスクの開発に成功したと発表した。これにより、近い将来需要が高まることが予想される大容量光ディスクの実現に向け、大きく前進したとしている。
同光ディスクは、1記録層当たりの記録容量がBlu-ray Discと同じ25GBで、その記録層を16層に積層した再生専用光ディスク。
多層の光ディスクにおいては、再生していない他の記録層からの不要な信号の影響や各記録層からの再生信号が微弱であることから、安定的に良好な再生信号を得ることが困難なため、積層する記録層の数に限界があった。
このような問題に対して、同社ではDVDで培った製造技術を活用、他の記録層からのノイズを低減する構造を開発したことなどにより、各記録層から高品位な再生信号を得ることのできる多層光ディスクを実現したという。
読み取りシステムには、広いレンジで収差を補正する光学素子や、微弱信号を高S/N比で読み取れる受光素子を光ピックアップに採用したことにより、安定的な再生信号の読み取りを実現したという。
NA(Numerical Aperture)など対物レンズの光学的仕様はBlu-ray Disc規格と同一であることから、互換性を維持することが可能という。また、1枚の光ディスクに従来よりもはるかに大量の情報を蓄積することができるため、光ディスクの使用枚数を大幅に削減でき、省資源化にも寄与するとしている。
今回の検証したのは再生専用の多層光ディスクシステムの可能性だが、同技術は記録型ディスクにも応用可能という。同社はこの成果をもとに将来予想される大容量アーカイブのニーズにお応えするため、大容量光ディスクの実現に向けてさらに研究開発を進めるとしている。
同研究成果の詳細は、7月13日からハワイ島で開催される光メモリの国際学会「ISOM/ODS2008」で発表する予定。