国の天然記念物で、「忠犬ハチ公」でも知られる秋田犬の数が激減しているという。純粋な秋田犬の保存を目的に設立された秋田犬保存会(秋田県大館市)によれば、ピーク時の1972年当時同会には4万6,225頭の秋田犬が犬籍登録されていたが、2007年度は2,102頭まで減っているとのこと。また、同会の会員数も1万4,199人から2,815人と減少の一途をたどっているという。

第117回本部展(2007年)名誉章犬「彩」(メス) 提供:秋田犬保存会 第117回本部展(2007年)名誉章犬「秀丸」(オス) 提供:秋田犬保存会

純粋な秋田犬は、太平洋戦争中に軍による捕獲命令などもあり大幅に数を減らした。終戦時には隠れて飼育されたわずか十数頭にまで減り、絶滅の危機にあったという。その後、愛犬家の努力により繁殖がすすんだものの、ピーク時の20分の1以下まで落ち込んでいる現在はそれ以来の危機だともいわれる。

同会では、秋田犬減少の大きな原因の1つに大型犬であることを挙げている。住環境や家族状況をふくめ、秋田犬のような大型犬を飼育できる環境が減っている上、室内でも手軽に飼える小型犬に人気を奪われていることも影響していると考えられるという。

同会では今後、各地で定期的に開催している展覧会などのイベントで秋田犬にふれあってもらうなど秋田犬の魅力を一人でも多くの人に知ってもらう機会を増やしたり、同会を入会しやすい組織に体質改善したりすることで、秋田犬への理解を深めていきたいとしている。

第19回本部展(1953年)名誉章犬「金朝」(オス) 提供:秋田犬保存会 第27回本部展(1955年)名誉章犬「菊丸」(メス) 提供:秋田犬保存会