Booksベストセラー週間総合ランキング6月20日~6月26日では、『くるねこ(2)』(くるねこ大和)、『悩む力(姜尚中)の2タイトルが新登場でトップテン入りした。

6月20日~6月26日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
2位 AB型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
3位 A型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
4位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
5位 おつまみ横丁(池田書店) 瀬尾幸子/編集工房桃庵
6位 くるねこ(2)(エンターブレイン) くるねこ大和
7位 悩む力(集英社) 姜尚中
8位 脳を活かす勉強法(PHP研究所) 茂木健一郎
9位 情報は1冊のノートにまとめなさい(ナナ・コーポレート・コミュニケーション) 奥野宣之
10位 朝バナナダイエット(ぶんか社) はまち。

新登場6位の『くるねこ(2)』(くるねこ大和)は、人気ブログランキングイラスト部門で1位を獲得した『くるねこ大和』の書籍化第2弾。デザイナーでもある作者は、ついつい猫を拾ってしまうという自称"名古屋のおばさん"。拾ってきた5匹の猫たちからなる「くるねこ愚連隊」に、本作ではまたまた子猫たちが新加入してしまう。個性豊かな猫たちの日常と彼らが引き起こす騒動を描いた漫画が読者の笑いと共感を誘う。

9位に入った『悩む力』(姜尚中)は、東京大学大学院情報学環教授で政治学者でもある著者が、悩み多き時代に生きる現代人に「悩む」ことへのヒントを与える本。夏目漱石とマックス・ウェーバーを「100年前に我々と同じ壁に直面し悩んでいた人」として引き合いに出し、「途中で投げ出さずに悩み抜け」と説く。固い印象を与えるタイトルに反して平易な内容で読みやすい。

単行本部門に目を移すと、9位に『ラン』(森絵都)が新登場でランク入りした。2006年に直木賞を受賞して以来初の書き下ろしとなる本作は、交通事故で両親と弟を亡くした少女が主人公。いつしか自分の殻に閉じこもるようになっていた彼女が様々なきっかけから仲間を得、前向きに歩く様を描く。

今週の注目

『忍びの国』(新潮社/和田竜/税別1,500円)

戦国時代、各地で戦国大名が領地を拡大する中にあって伊賀の国だけは地侍が乱立して互いに争いあっていたという。だがその一方で彼らは、他国からの侵略に対しては皆で戦うという同盟を結んでいた。

本作は、そんな一見不可思議な伊賀の国を題材にした歴史小説。デビュー作『のぼうの城』が売れ行き好調な和田竜による書き下ろし第2弾だ。前作は豊臣秀吉の時代を舞台にしていたが、近作の舞台は織田信長の天下統一の途上。天下統一に向けて着々と各地を平定していく信長も、伊賀には一目置いて手を出さなかったという。だが、伊賀の地侍たちの謀略に巻き込まれ、信長の長男・信雄は伊賀攻めを行う。そこで信雄は伊賀の忍びの恐ろしさをいやというほど思い知ることになるのだが……。

作品の中で中心に描かれるのは、身分の低い「忍び」。忠義や誠を重んじた武士とは正反対の、お金と目の前の損得でしか動かない彼らのドライさが際立つ。あたかも目の前に情景が浮かんでくるかのようなスピード感にあふれた戦闘シーンも本作の魅力のひとつ。作中しばしば古文書の記録が引用されているため、小説でありながらリアルな読み物として楽しめる。