「ESET NOD32アンチウイルス V3.0」

キヤノンITソリューションズより、「ESET NOD32アンチウイルス V3.0(以下NOD32)」が発売された。パッケージ版は4,800円(税別)、ダウンロード版は3,200円(税別)。更新費(1年)は、パッケージ版が2,980円(税別)、ダウンロード版が2,500円(税別)となっている。NOD32は、公官庁や研究機関での採用も多く、ライセンス販売についても対応している。多数のライセンスが必要な場合には、そちらも選択できる。対応OSは、Windows 2000(SP4)、XP(Home、Professional)、XP x64、Vista(32bit、64bit)。インストールのために100MB以上の空き領域が必要となる。

今回のバージョンアップで、64bit OSへのサポートが追加された。NOD32は以前のバージョンでも、Windows Server 2003において64bit版へのサポートがされていたが、今回はクライアント用OSにも拡大された。2008年になり、PC用のメモリの価格は、急激に下がっており、4GB以上のメモリを搭載することが容易になった。しかし、32bit OSでは効果的にメモリを利用できず、64bit版のOSの導入を検討したユーザーも少なくないであろう。

ネットワークカードやグラフィックスカードなどのドライバの64bit化が進んでいるが、ウイルス対策ソフトで64bit対応のものは多くはない。安心してPCを使うためにもウイルス対策ソフトはかかせないものだ。そんな中で、今回の64bit OSへの対応は、ありがたいものである。

パーソナルファイアウォールやアンチスパイウェアなどの機能を追加した上位製品「ESET Smart Security」もあるので、必要に応じて選択できるだろう。

未知のウイルスを防ぐ、ヒューリスティック機能

NOD32といえば、著名な商品比較サイトが改竄され、ウイルス(トロイの木馬)が仕込まれた事例で有名である。ウイルス対策ソフトはウイルス定義ファイルから、ウイルスを発見するのであるが、その事例ではウイルス定義ファイルが間に合わなかった。しかし、搭載されたヒューリスティック機能により、未知のウイルスを遮断したのが、NOD32であった。これにより、ウイルス対策ソフトとして、その名を一躍有名なものとしたのである。

NOD32では2つのヒューリスティック機能を組み合わせている。ウイルスの命令フローやレジスタの値を逆アセンブルして解析する「パッシブアプローチ」と、システム全体をエミュレートし、検査対象のコードを仮想的に実行し、判定する「アクティブアプローチ」という2種類である。

NOD32では、シグネチャ検査、ヒューリスティック検査、アドバンスドヒューリスティック、アドウェア/スパイウェア/リスクウェア、潜在的に不要なアプリケーション、潜在的に安全ではないアプリケーションの6種類を組み合わせて検査を行う(これをThreatSenseテクノロジと呼んでいる)。

普段のヒューリスティック検査ではパッシブアプローチを採用し、アドバンスドヒューリスティックでアクティブアプローチを採用している。複数の検査を実施することで、未知のウイルスにも対応が可能になるということである。

UIも一新されたNOD32

では、新しくなったNOD32を使ってみよう。インストールをすると、起動時にNOD32のダイアログが表示される。この状態で、NOD32のウイルス・スパイウェア対策が有効になっている。

図1 起動時のダイアログ

さて、最初に手動でウイルス検査を行おう。[スタートメニュー]から[ESET NOD32 Antivirus]を選択する。NOD32が起動し、現在の保護の状態が表示される(図2)。

図2 保護の状態

左のメニューから[コンピュータの検査]を選択する(図3)。

図3 コンピュータの検査

ここでは、[標準検査]を選ぶ。自動的に検査が始まる(図4)。

図4 検査中

検査中には、ログを表示したり、バックグラウンドで実行するといったこともできる。検査が終了すると、図5のような表示がされる。

図5 検査終了

無事にウイルスやスパイウェアがないことが確認できればOKである。クリーンインストールに近い状態であり、使用領域は4GB程度であったが、6分46秒で終了した。かなり早いという印象である。[カスタム検査]では、検査プロファイルやドライブなどを設定できる(図6)。

図6 カスタム検査

さらに[設定]ボタンをクリックすることで、検査方法なども設定できる(図7)。

図7 検査方法の設定

普段の使用ならば、この状態で問題ない。NOD32には詳細モードが用意されており、[設定]メニューで、[詳細モードへの切り替え]をクリックすると、詳細モードになる(図8)。

図8 詳細モード

メニューに[ツール]が追加され、ログ、隔離、スケジューラなどの設定が可能になる(図9)。

図9 スケジューラの設定

NOD32のシンプルなインタフェースは非常に扱いやすい。動作も軽快で、使用のさまたげにはなりにくい。シンプルではあるが、使いやすさと信頼性の高い、ウイルス対策ソフトである。