ついに憧れのミュージカルを初体験!

グダグダ前置きするのもどうかと思うのでいきなり本題に入ります。

ミュージカル「テニスの王子様」コンサートDream Live 5thを取材してきました!

……「テニスの王子様」といえば、9年近くの長きに渡り週刊少年ジャンプ誌上で連載された人気漫画であり、連載終了後もアニメやミュージカルなど多方面で盛り上がりを見せているモンスターコンテンツです。

特にミュージカルはすごいらしい……何がすごいかはよくわからないけど、とにかくすごいらしい……という具体性に欠ける噂を聞いてはいたものの、なかなか参加する機会に恵まれませんでした。

それが体験できるなんて……もはや仕事であるという意識をどこかに置き忘れて楽しんできた今回のミュージカル、かなり個人的なレポートになりますがご容赦を。

事前情報は「なんかいろいろとすごい」という一点のみ

ミュージカル・テニスの王子様(以下テニミュ)は夏本公演と冬本公演、そしてDreamLiveと呼ばれるコンサートをローテーションで行うスタイルで知られています。僕が今回参加した「テニスの王子様 コンサートDream Live 5th」は、「The Progressive Match 比嘉 feat.立海」というサブタイトルが付けられており、つまり僕の大好きなキャラである比嘉中の田仁志(美形ぞろいのテニプリの異端児、僕らの心の友)が登場するということですから、これはもう始まる前からテンションは最高潮です!

いよいよ公演スタート!

5月18日。横浜アリーナ。

開始時間よりもかなり早く会場に到着した僕でしたが、すでに入り口には長蛇の列が! 原作がすでに終了しているというのにこの人気っぷり……改めてテニプリという作品の偉大さを思い知りました。

観客は女性がほとんどでしたが、稀に男性の姿も見えます。割合としてはだいたい9:1ぐらいでしょうか。女性が苦手な筆者にとっては完全にアウェイです。 でもここにいる人たちは当然ながら全員がテニプリファンのはず……うん、そう考えると何か妙な連帯感が出てきて落ち着いてきましたよ。 テニプリ好きに悪人はいない!(はず!)

ともあれ、そんなこんなで定刻になり、いよいよ公演がスタート!

まず登場したのは、青春学園(以下:青学)の1年トリオ。もうこの時点で会場が割れんばかりの歓声が周囲の空気を震わせます。歓声の中には、キャストの名前を叫ぶファンの声も混じっており、何となくアイドルのコンサートのノリを連想させます。

ステージは2つあり、両方にキャストが登場して歌ったり踊ったりする場面も。目が4つ欲しい……!

いきなりの大盛り上がりにびっくりしてテンションを上げ切れなかった僕ですが、漫画やアニメで見覚えのあるジャージが視界に入り、すぐにテンションはマックスに! ちゃんとキャラの見た目が再現されているとやっぱり嬉しいもんですね。

さて、今回の公演は先ほども書いた通り、原作での「青学VS比嘉」編をミュージカル仕立てにしたもの。大筋はストーリー通りに進みますが、キャストによるアドリブや楽屋ネタ、またはコアな原作ネタなど、様々な角度からファンの心をくすぐる演出を見せてきます。

正直、今回のレポートは伝えたい要素が多すぎて書くのに困りました。しかも何を書いても、「結局は体験するのが一番です」という身もふたもない結論に着地してしまいそうな気がするので、ここからは、公演で特に印象に残ったシーンを挙げていきながら、皆さんに「ミュージカル・テニスの王子様は実際のところどんな感じなのか」をお伝えできればと思います。

手塚、空を飛ぶ!

いきなり「空を飛ぶ」と書いても何を言ってるのかさっぱりわからないという方がほとんどだと思いますが、事実をありのままに書くとこうなってしまうのです。一切誇張なし!

そうですね、もっと具体的に書くなら、眼鏡でクールなイケメンである手塚部長が一人で舞台に登場し、いったい何が始まるのかと思いきや、次の瞬間手塚の体が宙に浮き、そのままはるか上空を棒立ちのままふわふわと飛びながらバラードを熱唱し始めたのです……。

ヤバイ。不覚にも、笑い死ぬかと思いました。

こんな僕でもこの世に生を受けて27年間が経過しており、その間にそれなりに人生経験を積んできたわけですが、これほどまでにシュールな光景を見るのは初めてです。

さすがはテニスの王子様……原作同様、思いもよらない方向から攻めてきやがるぜ……! と思いつつも、ひょっとしてこの「手塚が空中を舞いながら熱唱する」シーンは、うっとりしながら「部長……素敵」とかつぶやかなければいけない場面なのかと若干不安になり、周囲を見回してみたところ全員爆笑していたので、「ああ、なるほど。これもテニミュの正しい楽しみ方のひとつなんだな」と安心した次第です。

イケメンなだけにシュールさが際立つ!(左:リョーマ 右:手塚)

白菜はやっぱり白菜だった!

さて、テニミュの名物キャラといえば、なんといっても白菜でしょう。

「白菜」とはテニスの王子様きっての不良キャラ(根は良いやつ)として読者に絶大なインパクトを与えた亜久津くんのあだ名で、髪型が色も形も白菜そっくりだったことからこの通称が与えられました。

それ以降、亜久津=白菜として人気を博している彼ですが、今回のミュージカルにも僕らの期待通りにばっちり登場! テニミュを取材するにあたって、白菜を生で見ることが楽しみのひとつだった僕にとっては最高のプレゼントでした。

もちろん髪型はしっかりと白菜で、心なしか原作よりもさらに菜っ葉部分が盛られている気もします。これには僕も大喜びして、思わず立ち上がり「白菜!」と叫びそうになったのですが、ここでふと、先ほどの手塚のときと同じく、もしかして「白菜」というのはテニミュファンの間では禁句なのだろうか……? という不安が脳裏をかすめまして、ちょっと耳をすませて見たところ、周りから「やっぱ白菜だね(笑)」というような声が聞こえてきました。

……OK! 白菜は今後も白菜だね!

このまま彼には名物キャラとして、ストーリー的に関係のない回にでも、特に意味もなく登場してほしいですね! もちろん白菜頭はだんだん盛りが激しくなっていく方向で。

海堂役のキャストが卒業!

手前が柳下大さん(2007年の制作発表会見にて撮影)

宙を舞う部長や白菜、役者さん同士の掛け合いの妙に、爆笑しながら見ていた今回の公演ですが、涙の別れもありました。海堂役を務めた柳下大さんが、今回の公演をもってテニミュを卒業することが発表になったのです。

僕は今回が初参加だったので「卒業」と言われてもピンとこなかったのですが、テニミュは数年前から始まり、代替わりを繰り返しながら長期間にわたって続けられてきた人気ミュージカル。

当然、初期からのファンや役者さん個人のファンもたくさんいらっしゃるわけで、そうした方にとってはずっと応援してきたキャストの卒業はとても寂しいことなのだろうと思います。

しかし卒業は新たなステージへのステップ。それをわかっているからこそ、時折涙を見せながらも前向きなコメントとファンへのお礼を述べておられた柳下大さんに、ファンも温かい声援と惜しみない拍手を送っていました。

特に、青学メンバーが柳下大さんに感謝の気持ちを伝えるシーンでは、僕もなんかちょっとうるっときてしまいました。

会場が一体となって笑えたり、泣けたり……この感情の揺さぶりこそが、テニミュがファンの心を捉えて離さない最大の秘密なのかもしれません。

普段から仲が良さそうな青学キャストたち

田仁志のネタキャラっぷりに大満足!

「動けるデブ」こと田仁志くん(昨年12月のゲネプロにて撮影)

こういったミュージカルだと、美形キャラクターばかりが優遇されるのではないか……と、失礼ながら見る前はイメージだけでそんな風に思っていました。

でも僕は、決して美形とは呼べない田仁志というキャラが大好きで、今回のミュージカルでも彼がどのように演じられているのかが楽しみだったのです。

田仁志とは、沖縄チームの「動けるデブ」として主人公越前リョーマを苦しめたライバルキャラ。

原作では「ビッグバン」などの豪快な技で活躍した彼ですが、果たしてミュージカルでの彼の扱いはどんなものか……。もしかして数々の美形キャラの陰に隠れてしまってはいないか……と楽しみな反面、心配もしていたのですが、それは見事に杞憂に終わりました。

さすがは手塚を宙に舞わせたスタッフ、ちゃんとネタの使いどころをわかっていて、田仁志は他のキャラにいじられたり、手塚のまねをして空を飛んでみたりと、大活躍!(?)

役者さんのルックスが田仁志にしてはイケメンすぎる気もしましたが、しゃべり方や体の動かし方などでしっかりと雰囲気を作っていたのには、さすがプロだなと感心しました。

とにかく楽曲がかっこいい!

原作が漫画ということで、僕などはどうしてもキャラクターやネタ的な部分に目が行ってしまうのですが、ミュージカルといえば音楽です。そしてテニミュは音楽がとにかく良い!

テニミュの作曲者は佐橋俊彦さんという方で、映画やアニメ、ドラマなど幅広い作曲活動で知られています。今回、2時間のコンサートで数え切れないほどの曲が流れましたが、アップテンポなものからバラードまで、実に多彩。

以前に、100曲マラソンというテニプリのキャラソンイベントを取材したことがあるのですが、テニプリ関連のイベントは音楽にとても力を入れているようです。

これらミュージカルの楽曲は、カラオケにもあるみたいなのでさっそく歌いに行かないと!

それぞれが自由に「ミュージカル・テニスの王子様」を楽しもう!

歌声に惚れ惚れしたり、時には涙ぐんだり、あるいはお腹を抱えて笑ったり、自分でも驚くほど喜怒哀楽を自然に表現できた今回の公演。

会場に入る前は「どうやって楽しめばいいのか」と不安もありましたが、何のことはない、自分なりに楽しめばいいのです。好きな役者さんを追いかけるもよし、ネタとして楽しむもよし、それぞれが自由にミュージカルを楽しめばそれでOK。

アニメにミュージカルにキャラソンに……原作は終了してもまだまだ盛り上がりを見せるテニプリワールド、今後どのような展開が待っているのか、注目していきたいと思います。

ひとまずは、7月29日から始まる新たな公演、「The Imperial Presence 氷帝feat.比嘉」を要チェック!

最後は全員で感動のフィナーレ! (中段左が白菜こと阿久津くん)