Adobe Systemsが新しいRIAプラットフォームとして"Apollo"(AIRの開発コード)を公開したのが2007年3月19日であり、それから約1年後の今年2月25日に「Adobe AIR 1.0」は正式リリースされた。しかしその時点では、日本の開発者やユーザにとっては大きな問題があった。日本語が正式にサポートされていなかったことだ。
この問題は今月17日にリリースされた「Adobe AIR 1.1」で解消された。AIR 1.1はマルチ言語対応版であり、これによって日本語を含めたさまざまな言語がAIR上で問題なく利用できるようになった。具体的には、日本語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語といった言語に対応しているという。
日本語が正式サポートされたことにより、まずAIRそのもののインストールが日本語のメニューで行えるようになった。また日本語を含むHTMLを表示する際に、日本語セットを自動判別して最適化するという。日本語IMEにも対応したため、Webkit上のHTMLフレームにおいて日本語を入力することが可能になった。その他、JavaScriptとActionScript間の日本語文字列の受け渡しや、日本語を含むファイルパスのサポートなども追加されている。
アドビシステムズ マーケティング本部 デベロッパーマーケティングスペシャリスト 轟啓介氏 |
もちろん、日本語だけでなく他の言語についても同様に数々の問題が解決されているという。つまり、1.1のリリースによって言語の垣根を越えたインターナショナルなAIRアプリケーションの構築が可能になったということである。アドビシステムズ マーケティング本部 デベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏は、「1.1のリリースによってAIRは日本の開発者にとってより本気で取り組むことができるプラットフォームになった」と語っている。
もっとも、日本語が正式にサポートされていなかった4カ月間においても、国内での注目度はそれを感じさせないくらい高かったと同氏は指摘している。AIRランタイムのダウンロード数は月に数百万を数え、AIRを用いて開発されたアプリケーションもAIRギャラリーに登録されているだけで27個、AIRコンテストには86作品の応募があったとのこと。すでに開始されている商用サービスもあり、日本語に正式対応したことで国内でのAIR開発はさらに本格化するだろうと同氏は語っている。