横浜美術館は20日より、企画展「茂木健一郎・はな・角田光代・荒木経惟 4人が創る『わたしの美術館』展」を開催する。著名人4人がゲストキュレーターとして同館所蔵品をそれぞれ選定し、各自のセクションに展示するユニークな試みだ。開催期間は8月17日まで(木曜休館)。

同館所蔵品を選定したゲストキュレーターの4名

同美術館では、美術館を身近に感じてもらおうと2005年に第1回目の「わたしの美術館」展を開催し、会場には市民からの応募によって選ばれた所蔵品が展示されたという。今回はその第2弾として、各分野の第一線で活躍する著名人をゲストキュレーターに迎え、彼らの目を通して同館コレクションを紹介していく内容となっている。

各ゲストキュレーターの視点は様々で、茂木健一郎氏は美術作品に表現された「顔」に、はな氏は写真に表現された「仏像」や「親近感」が見出せる作品にそれぞれ注目。さらに角田光代氏は人が絵画を通して大きな意味合いでの「神」に触れようとしているとの視点から、そして荒木経惟氏は「模写・複写・盗作」というテーマに沿ってそれぞれ作品を選定したという。加えて角田氏は選定した作品に想を得たショートストーリーを、荒木氏はそのテーマに沿った自らの新作をそれぞれ出展するとのこと。同美術館では「代表的な所蔵品が従来と異なって見えたり、これまであまり紹介されなかった所蔵品に隠れた魅力が見出されたりと、新たな魅力から当館コレクションの多彩さを伝えたい」としている。

なお初日の開会式典にはゲストキュレーター4人が出席するほか、22日には茂木健一郎氏によるスペシャルトーク「絵の力―延長された顔―」が、7月12日には、はな氏のスペシャルトーク「ほほえみ浮かぶ、絵の中で」が開催される予定。また、7月6日には荒木経惟氏が1日で100人の顔を撮影する「アラーキーの横浜美人100人撮り!」が実施される。観覧料は一般900円。

はな氏セレクトから
藤本四八《善財童子》 1956年 ゼラチン・シルバー・プリント 54.6×44.6cm 横浜美術館蔵
角田氏セレクトから
オディロン・ルドン《二人の踊女》 制作年不詳 油彩、カンヴァス 44.5×30.0cm 坂田武雄氏寄贈
荒木氏新作
荒木経惟《盗作緊縛》 2008年 カラープリント 87.0×106.0cm 作家蔵