コンピューター関連の展示が多いCOMPUTEXだが、携帯電話関係の展示も探せば結構見つかるものだ。中にはちょっとユニークな携帯電話もいくつか展示されていた。

業務用のヘビーデューディーなスマートフォン

台湾Unitechの「PA600」は、タフネス仕様が売りの業務用ハンディーターミナル。IP64等級相当の防水・防塵性能と、1.2メートルの高さからコンクリートの床に落としても壊れないという耐衝撃性を持つ。また、本体上部にはバーコード読み取りに対応したレーザースキャナを内蔵している。そしてOSにはWindows Mobile 5.0を搭載しており、GSM/GPRS方式に対応した携帯電話機能を搭載する。スマートフォンとして各種アプリケーションの利用やインターネットアクセスなども可能だ。さらに本体背面にはRFID(非接触ICタグ)リーダーをそなえるなど、小売業、流通業、工場など常時屋外で各種処理を行う必要があるプロフェッショナル向けの製品と言える。

Unitech PA600のボディーは、まさしくタフネス仕上げ。10キーは文字入力機能のほか、タッチパネルを使えない時のために各種操作も割り当てられている

背面にはベルトを備えており、手のひらに本体をしっかりホールドし落下を防ぐことができる

なおUnitechは日本にも代理店があり、日本でも端末の販売が行われているそうだ。ただし、PA600にはGPRS/無線LAN/レーザースキャナの有無により複数のモデルがあり、おそらく日本では携帯電話機能が使えないことから、GPRS内蔵タイプは販売されていないだろうとのこと。もし将来3Gに対応したモデルが登場すれば、日本でも発売される可能性はあるだろう。

本体上部にはレーザースキャナを備え、バーコードの読み取りに対応する

実際に水中に入れるなど、耐水性のデモなども行われていた

「腕時計ケータイ」はキワモノ扱い?

世界で最初に腕時計型携帯電話のプロトタイプを発表したのは、確かSamsung電子だった(PHSはNTTが1997年に開発)。しかし、その後同社から製品は発売されず、他の大手メーカーも追従はしていない。一方、ここ1~2年で中国や韓国のメーカーによる腕時計型携帯がいくつか発売されるようになってきた。だがいずれの製品も質感や使い勝手などのクオリティーはまだまだ低い製品ばかりである。

COMPUTEXでも無名なメーカーの腕時計型携帯電話がいくつか展示されていたが、大きな注目を浴びることは無いようで、むしろ「キワモノ」「異色の商品」という扱いだったように感じられた。タッチパネル対応やBluetoothを搭載するなど機能としては比較的高いものの、本体はプラスチックそのままの質感であり、どうしても安物の腕時計という印象を受けてしまう。また電池の持ちやマイク/スピーカーの品質など、携帯電話としての基本機能もどの程度安心できるかは未知数だ。

中国Man Power Hi-Techの腕時計型携帯電話。タッチパネルを備えており手書き入力もできるが、これは中国のマイナーメーカーでは標準的な機能。質感は写真で見るとおりで残念ながら高級感は感じられない

同社は元々MP3プレーヤーなどを手がけており、腕時計型の音楽/ビデオプレーヤーも商品化している。Bluetoothを内蔵し、ワイヤレスで音楽を聞くことも可能

台湾メーカーでもBenQ-Siemensなどの大手が製品化するか、あるいは時計メーカーと携帯メーカーが共同開発した商品を出すなどするまでは、本格的な腕時計として毎日安心して常用できる「腕時計ケータイ」は実現不能なのかもしれない。

香港のある販売代理店は2タイプの腕時計型携帯電話を展示。質感は若干高く、Bluetoothヘッドセットも付属する。ただ日常的に利用するには耐久性や防水性がやや心配だ

こちらは台湾のOEM/ODMメーカーによるもの。右上の携帯電話のサイズと比較するとわかるが、普通の腕時計より一回り大きいサイズだ。なおこれらの製品はいずれもGSM方式に対応する

「公衆電話ケータイ」こそ全世界が求める製品?

台湾のTONGYA TELECOMMUNICATION INDUSTRYは、屋外用の公衆電話を製造するメーカー。最近は時代の流れから、無線LANを内蔵しVoIPを利用するタイプや、携帯電話回線を利用する公衆電話も製造している。携帯電話タイプはGSM(900/1800MHz)に対応した「TYW-251」が展示されており、主に発展途上国などに輸出されているという。

外観は一見地味だが、輸出先ごとに異なる複数のコインの判別対応やコインボックスの破壊/盗難防止、そして屋外で利用することから耐熱・防塵性が求められるなど、コンシューマー向けの携帯電話とは違った技術が必要とされる。昨年はチリやモロッコに数千台が輸出されており、電話回線を引くことのできない国々では外部との連絡手段として貴重なインフラとなっているのだ。

地味な製品だが国によっては貴重なインフラとなるTW-251。携帯電話内蔵タイプはほかに2タイプの製品があるとのこと

こちらはほかのメーカーによる室内向けの据え置き型GSM/CDMA携帯電話。このタイプは多くのメーカーが製品化している