ホンダ(本田技研工業)は、新型燃料電池車「FCXクラリティ (FCX Clarity)」の生産を開始し、第1号車(米国仕様)を6月16日にラインオフした。また、このラインオフに合わせて、生産工程の一部を公開した。
「FCXクラリティ」は、2007年11月のロスアンゼルスオートショーで公開された。燃料電池車専用として設計され、ホンダ独自の燃料電池スタック「V Flow FCスタック」技術を核に、クルマとしての新しい価値と魅力をテーマにしている。発表時に、2008年夏から個人客などを対象にリース販売を開始するとアナウンスされていた。日本では今秋にリース販売を開始する計画。日米合わせた販売計画台数は、年間数十台、3年間で200台程度を予定している。また、7月7日から開催される北海道洞爺湖サミットの「環境ショーケース」に、環境先進技術の一環として出展される。
今回の発表は、この「FCXクラリティ」の生産が開始され、ラインオフを記念した式典に米国で最初の顧客となる5組が招かれたというもの。合わせて、生産ラインも公開された。FCXクラリティはホンダの四輪新機種センター(栃木県塩谷郡高根沢町)で生産される。燃料電池車専用の組み立てラインを新設し、燃料電池スタックや水素タンクの車載などを行なう。また、燃料電池スタックはホンダエンジニアリング(栃木県芳賀郡芳賀町)で生産される。高品質を求められるセルの製造工程では専用設備による機械化を進め、1台あたり数百枚必要なセルの量産を可能にしたという。
「V Flow FCスタック」は、ホンダ独自の水素や空気を縦に流す「V Flow(バーチカル・ガス・フロー)セル構造」と水素・空気の流路を波形形状にした「Wave流路セパレーター」の採用により、スタックの性能の向上と飛躍的な軽量・コンパクト化を実現した。スタックの最高出力が100kWに向上するとともに、従来のスタックに比べて容積出力密度が50%、重量出力密度は67%向上した。低温での始動性も大幅に向上し、マイナス30℃での始動を可能としている。従来FCXと比較し、燃費性能は20%アップ(ガソリン車の約2~3倍、ハイブリッド車の約1.4倍)、航続距離は30%向上した。