東京都庭園美術館は7月19日より、作品展「舟越桂 夏の邸宅」展を開催する。同イベントは、木彫人物像によって80年代から日本の現代彫刻をリードしてきた舟越桂の各時期の彫刻、ドローイング、版画を通して彼の全体像に迫る作品展となっている。展示総数は約80点。

舟越桂『遠い手のスフィンクス』2006年
楠に彩色、革、大理石、鋼
高橋コレクション
撮影:内田芳孝
写真提供:西村画廊
舟越桂『言葉をつかむ手』2004年
楠に彩色、大理石
作家蔵
撮影:岩根悠樹
写真提供:西村画廊

舟越桂の生み出す人物像は、天童荒太『永遠の仔』や須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』、五木寛之『人間の関係』など書籍の装丁に使われることも多いため、目にしたことがある人も少なくないはず。見る者に親しみを覚えさせつつも、遠くを見つめた目が近づきがたさや厳しさをも感じさせ、その静かで確かな存在感が幅広い年代層に支持されている。

今回の展覧会では代表作を中心に2000年代前半までの各時期の彫刻から厳選し、さらに新作を含む近作群をまとめて紹介するとのこと。また、ドローイングや版画といった彫刻以外の作品にも光を当て、表現者としての舟越桂の全体像に迫るという。

また、こうした舟越桂の作品群がアール・デコ装飾に彩られた美術館の空間とどのようにマッチするかも見どころのひとつ。同美術館では、個性豊かな部屋とそこに置かれた彫刻、ドローイング、版画が絡み合って創り出す空間と時間を「夏の邸宅」と表現し、展覧会のタイトルとしたとしている。

開催期間は9月23日まで(7/23、8/13、9/10休館)、開館時間は10:00~18:00(入館は17:30まで)。入館料は一般1,000円。

舟越桂『街へ帰る豹』2002年
リトグラフ