米AMDは6月16日 (現地時間)、GPUベースのストリームプロセッサ「FireStream 9250」を発表した。HPC ( high-performance computing)を中心に、メインストリームやコンシューマ・アプリケーション分野での利用が想定されている。同プロセッサを備える拡張カードは150ワット以下の消費電力で、演算性能は1TFLOP (単精度)を超えるという。1ワットあたり最大8GFLOPSの効率性が特徴だ。2008年第3四半期の発売を予定しており、価格は999ドル。同時に対応ソフトウエア開発キット「AMD Stream SDK」もリリースされる。

FireStreamは、GPUの演算能力を活用したアクセラレータカードだ。AMDによると金融分析プログラムへの導入例では、CPUのみの処理よりも最大55倍の高速化が報告されているという。カスタムアクセラレータと比べると、GPUテクノロジをベースとしているFireStreamはソリューションに対して柔軟性が高いというメリットがある。

FireStream 9250は「FireStream 9170」ゆずりの機能群の上に、第2世代の倍精度浮動小数点ハードウエアが実装されている。メモリは1GBのGDDR3。その他の詳細については現時点では明らかにされていない。拡張カードのインターフェイスはPCI Express。一つのカードスロットに装着できるコンパクトな製品で、1Uサーバ、デスクトップシステムやワークステーションにも対応する。

AMDによると、FireStream 9170の登場以来、ストリームコンピューティング市場は順調に拡大しており、ACCIT、Centre de Physique de Particules de Marseille、Neurala、Telanetixなどが同社のソリューションを採用している。AMDはまた、FireStreamのパフォーマンスを最大限に引き出されるように、CAPS entreprise、Mercury Computer Systems、RapidMind、RogueWave、VizExpertsなどのソリューションプロバイダと協力している。画像処理、センサー、信号処理向けのHPCシステムを開発するMercury Computer Systemsのアルゴリズムチームは、FireStream 9250での単精度の1D FFTで174GFLOPSのパフォーマンスを達成したという。