マツダは、広島大学と共同研究契約を結び、食糧と競合しないセルロース系バイオマスを原料としたバイオプラスチック技術開発を行ない、2013年までに自動車への実用化を目指すと発表した。
今回の発表された「マツダ・バイオプラスチック・プロジェクト」は、セルロース系バイオマスからエタノールを製造し、エチレンやプロピレン混合物などを経て、自動車用プラスチックとして最も使用範囲が広いポリプロピレンを製造するプロセスを開発するというもの。そのポリプロピレンを、バンパーやインパネに適用可能な耐熱・強度・耐久性に優れる材料にするための技術開発も行なう。さらに、同原料を由来とするバイオプラスチックの一連の製造プロセスにおける環境負荷や経済的コストなどについても評価し、最適なプロセスも検証する。
マツダは、以前よりバイオマス領域での技術開発に積極的に取り組んでおり、業界初の高耐熱・高強度なバイオプラスチックの開発(2006年)や、植物由来100%の繊維からなる自動車用シート表皮の開発(2007年)に成功している。これらの材料は2008年度中にリース販売開始予定の水素ロータリーエンジンとハイブリッドシステムを組み合わせた「マツダ プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」の内装部分に採用する。
バイオプラスチックは、食糧として適さない間伐材や稲わらなどを原料とするセルロース系バイオマスを使用するため、食糧と競合しないという利点がある。また、植物由来で食糧と競合しない持続可能な資源をベースにしたバイオプラスチックの開発は、地球温暖化防止や食糧問題に対応する技術として大きな可能性を持つという。