調査会社の米IDCと米Gartnerは6月12日(現地時間)、2008年の世界PC出荷台数の最新予測を発表した。両社ともに直前までの予想を覆し、最新のデータでいずれも上方修正を行った。出荷台数の予測を根本から覆したのはASUSのEeePCに代表される、いわゆる「Netbook」系の小型・低価格ノートPC製品だ。
IDCは3月中旬、2008年のPC出荷台数における成長率の予測値を13%増と発表した。だが今回の発表では、サーバやデスクトップ製品の市場が軟調となる一方で、ノートPCなどのモバイル関連が成長を牽引するとみて、15.2%増の3億1000万台に上方修正した。Gartnerも同年の出荷台数を12.5%増の2億9700万台と同様の予測を行っている。以前のGartnerの予測値は10.9%増だった。
両社が以前まで低めの予想を出していたのは、米景気減速を受けて世界でのPC需要が落ち込むことになると判断したためだ。米国ではサーバ/デスクトップのマイナス成長が続き、PC市場全体でも5~7%程度と、世界的にみても低水準の増加幅に収まる見通しだ。ただし同市場でも唯一ノートPCだけは需要が高まっており、特にEeePCなどに代表される小型・低価格なモバイル端末が出荷台数増につながると両社は予想する。
「モバイル向けPCの2008年第1四半期の出荷台数はわれわれの予想を上回った」と米Gartner調査ディレクターのGeorge Shiffler氏は述べており、こうした実測値を反映して今回の上方修正発表に至ったことがわかる。Gartnerでは技術や設計面が価格引き下げを実現しただけでなく、ノートPCのデスクトップPCに対する価値が高まってきていると述べる。中でもASUSのEeePCを例に、ノートPCでは不可能と思われた低価格を実現したことで、こうした製品が先進国や新興国を問わずに多くのユーザーを惹きつける結果になったと分析する。
もう1つのトレンドが新興国での伸びだ。日欧米などではノートPCのほうがすでに主流となりつつあるが、新興国でもノートPCに対する需要が急速に伸びている。IDCの予測によれば、世界全体で2009年にはデスクトップPCの出荷台数をノートPCが上回り、世界全体でノートPCのほうが主流になるという。2012年にはPC市場全体の成長率が9.3%まで鈍化するものの、ノートPCは引き続き2桁台の成長率を維持するとIDCは予測する。