クリティカル・サービスとは、文字通り企業のミッションクリティカルなシステムのユーザーサポートメニューだ。一般的なコールセンターは、障害が発生した場合の対応が主な業務だが、同社のメニューには、前で紹介したような障害時の対応行う「リアクティブ・サービス」呼ばれるものと、パッチ管理支援、ファームウェア管理支援、サポート・プランニング、ビジネスと運用に関するアドバイスなど、予防保全の部分をカバーする「プロアクティブ・サービス」がある。

クリティカル・サービスの位置づけ

プロアクティブ・サービスの提供は、ユーザーの窓口となるアカウント・サポート・エンジニア(ASE)のほかに、ハードウェアを担当するカスタマ・エンジニア、普段、障害対応を担当するレスポンス・センタ・エンジニア(RCE)で構成されるチームで対応する。そしてこのチームとユーザーとのミーティングも定期的に持たれるという。つまり、ミーティング等で顔を合わせたRCEが障害時の対応に当たるため、お互いの信頼関係を得やすいというわけだ。そのため、サービス契約の更新率も高まっているという。また、障害履歴をもとに、システムの改善提案を行うなど、リアクティブ・サービスとプロアクティブ・サービスの連携も図られているという。

クリティカル・サービスの概要

プロアクティブ・サービスとリアクティブ・サービスの関係

ユニークなのは、プロアクティブ・サービスに含まれる「テクニカル・サービス権」というもの。これは、特定の日数分、用意された20種類以上のメニューからサービスを自由に選択できるというもので、たとえば、OSのインストールやパッチの評価、社員教育用の講師などにエンジニアを利用することができるのだ。

マルチベンダにも対応

現在、多くの企業システムでは、マルチベンダ化が進んでおり、障害の原因がHP製品に限定されるわけではない。同社では、SAP、Oracle、BEA、シスコなど提携しているベンダ向けのオプションとして、オープン・ネットワーク環境サポート、オープンSAN環境サポート、クリティカル・サービス for SAPなどのメニューも用意している。同社によれば、シスコのルータをHPのエンジニアが修理することもあるという。

サービスの契約は、通信事業者や金融などが多く、正確な数字は非公開だが、その数は200~300程度だという。価格は、リアクティブ・サービスがサーバの種類と台数に応じた料金体系が採用され、プロアクティブ・サービスは約400万円から提供される。