加Nortel Networksは6月11日(現地時間)、カナダのトロントで年次アナリスト会議を開催し、同社の4G戦略について説明した。現在、4Gネットワークの標準を巡ってはWiMAXとLTEの2種類の規格が覇権を争っている。Nortelでは両技術を同時にサポートする一方で、その比重をより「LTE」のほうに傾けようとしている。

現状の3Gに続く第4世代(4G)のネットワークでは、数十Mbpsから数百Mbpsクラスの高速無線通信を実現し、ブロードバンドモバイル時代を担うインフラを構築することを目指している。その標準技術としてはIntelらを中心にPCベンダー各社が多く参加しているWiMAX(IEEE 802.16e)のほか、既存の携帯事業者が推進するLTEの2種類の規格が存在する。

WiMAXはすでに標準化が進んでおり、IntelらがPC向けの標準コンポーネントの出荷を開始している。米国ではClearwireとSprintによる商用サービスがすでにスタートしており、"いますぐ利用できる"技術として世界中で広がりつつある。今月9日にはWiMAX推進ベンダーのうち6社が集まり、特許の共有化で技術展開の際の障害を取り除くことを目的とした「Open Patent Alliance(OPA)」結成を発表した。NortelではWiMAXを「市場に素早く低コストで技術を届けるのに適した技術」と評価しており、需要が高まりつつあるブロードバンドモバイルの要求に応えるためにもWiMAXに力を注ぐ必要があると判断しているようだ。11日にはWiMAXで実績のあるイスラエルのAlvarionとの提携を発表し、ソリューションの提供で協業していくと述べている。

だが一方で、携帯電話業界では次世代技術の本命をLTEと見ているようだ。LTEではWiMAXよりも高速通信が可能で、同時に回線の収容本数も多い。特にモバイルTVなどのリアルタイム性の強いリッチなアプリケーションやサービスを念頭に入れたとき、有力な選択肢となる。China MobileやVerizon Wireless、NTTドコモといった世界中の大手携帯キャリア、またNokiaやEricssonといった大手携帯機器メーカーはLTEの推進に力を注いでおり、既存キャリアの多くはLTEへの移行準備を進めているとみられる。Nortelとしては現実路線のWiMAXをフォローしつつ、次世代の本命としてLTEにも力を注いでいく意向のようだ。

米Wall Street Journalや英Reutersなどの報道によれば、NortelはWiMAXへの新規開発投資を縮小し、そのリソースをよりLTEのほうに振り替える計画を立てているという。NortelではLTEの市場拡大スピードを「従来の予想より早い」と述べており、今後数年内にも急速に市場が立ち上がると予測している。