今年のCOMPUTEXでは、冷却性能を重視したPCケースの展示が目立った。中でもインパクトが大きかったのがThermalrightとThermaltake。
Thermalright
"PCケース型クーラー"と言った方が正しいようなケースを展示していたのはThermalright。この「HSC」(Heat Sink Case)シリーズは、両サイドとトップ面がヒートパイプと冷却フィンで構成されているもので、同社は昨年も展示していたが、今年はその改良バージョンを持ち込んでいた。
ハイエンドユーザー向けとなるのが「HSC-101」だ。昨年バージョンの「HSC-100」では、サイドパネルのヒートパイプがそのままCPUベースまで伸びていたが、これではやはりマザーボードとの互換性に問題があったようで、新型ではサイドパネルとの接続が水冷になっていた。
ところでこのケース、マザーボード側のサイドパネルやトップパネルにヒートパイプが通っている意味がないと思うのだが、今年も同様の質問をぶつけてみたところ、「水冷のパイプを繋げれば、グラフィックカードの熱をトップパネルに逃がすこともできるよ」とのこと。水冷を併用することで、自由度はかなり上がったようだ。
ブースのデモでは、Core 2 Duo E8400がファンレスで動いていたが、サイドパネルのフィンを触ってみてもほとんど熱が感じられなかった。コストはかかるが、ハイパフォーマンスで、かつ静音を狙いたい向きには良さそうだ。しかし発売は未定とのことで、登場にはもう少し時間がかかるかも。
一方、年内の発売を予定しているのが「Box 1」という製品。14cmファンをフロントとリアにそれぞれ3つずつ搭載するもので、エアフローは強力そうだ。
Thermaltake
今年のCeBITレポートで一報をお届けしたThermaltakeの小型コンプレッサー搭載システムだが、そのブランド名称が「Xpressar」に決まったようだ。
PCケースの中にパイプが通っているので、一見すると水冷のようだが、その冷却原理は全く異なる。この配管内部にはエアコンなどでも使われている冷媒が循環しており、液体から気体に相転移するときに熱を奪う現象(気化熱)を利用してCPUを冷やしている。原理的に水冷では室温以下にはならないが、このシステムの場合にはそれ以下も可能なのだ。
しかし欠点として、システムへの実装の難しさがあり、自作向けに発売することは考えていないそうだ。同社はPCメーカーと協力して、完成PCとして販売することを計画しており、実際に登場するのは来年以降になりそうとのこと。
SilverStone
ゲーマー向け新ブランド「Raven」のフルタワーケース「RV01」を展示していたのはSilverStone。このケースはレイアウトがちょっと変わっている。サイドパネルを開けて中を見ると「あれ?」と思うが、なんと、マザーボードが右に90度回転したような格好で、バックパネルが上になるようマウントされているのだ。
ケースファンはトップ側とボトム側に付いており、エアフローは下から上へ、となる。温かい空気は自然と上に向かうので、同社によればこれが「最も効率が良い方法」なのだという。バックパネルが上にあるため、周辺機器のコードの長さは少し余分に必要となりそうだが、リアがすっきりするのはメリットと言える。
Cooler Master
Cooler Masterは、23cmの大口径ファンを3つも搭載するケース「HAF」を展示していた。フロント、トップ、サイドにそれぞれ1つずつで、フロントとサイドから吸気して、トップとリアから排気する強力なエアフローが特徴となる。製品は年内の発売予定。
また、1つ1つが手書きというペイントを施した「CSX」ブランドのPCケースも展示されていた。手書きのためコストは高いが、ブース担当者によれば、日本でも発売していきたいということだ。