コンピューター関係のメーカーの展示が多いCOMPUTEX TAIPEI。携帯電話関連では、PCメーカーなどが展示する、Windows Mobileスマートフォンが目立っていた。数社から新しいタッチインタフェースを備えた端末が登場していたので紹介しよう。

HTC、タッチインタフェース搭載の最新機種「HTC Touch Diamond」をデモ

HTCは単独では出展せず、Microsoftブース内のWindows Mobileスマートフォンコーナーに、最新製品を多数展示していた。その中で最も注目を浴びていた製品は、AppleのiPhone対抗機と言われる最新モデル「HTC Touch Diamond(以下HTC Diamond)」だ。HTC DiamondはOSにWindows Mobile 6.1 Professionalを採用しており、通信方式はW-CDMA/HSDPAに対応、320万画素のオートフォーカスカメラを備えるなど同社のフラッグシップにふさわしいスペックを搭載する。デザインは名前の通りダイヤモンドをイメージしており、背面は鋭利なカットが特徴のデザイン、前面は透明のパネルで覆うなど、高級感ある仕上がりにしている。サイズは102×51×11mm、重量が110グラムと、iPhoneよりも一回りコンパクトだ。今月からアジアやヨーロッパなどで順次発売されている。

Microsoftブースに並んだHTCの最新スマートフォン群

最新のHTC Touch Diamond

HTC Diamondの最大の特徴は、指先でメニュー操作や画像のズームインなどが行える新しいユーザーインタフェース「TouchFLO 3D」の搭載である。2.8インチVGAの高解像度ディスプレイはスタイラスペンだけではなく、指先でタップする、スライドさせる、回す、などの動作により各種操作を行うことができる。

HTC Diamondの待ち受け画面は、HTC Touchなどとよく似たイメージだが、新たに画面下に各アプリケーションのアイコンが並んで配置されている。表示されていないアイコンは、画面上で指先を左右にスライドさせることで順繰りに表示できる。アプリケーションの起動はアイコンをタップすればよい。

また、それぞれのアプリケーションのインタフェースもユニークだ。たとえばメッセージアプリを選択すると封筒に手紙の入った画面表示となり、手紙を指先で封筒から出すようにスライドさせると次のメッセージが表示され、タップすると本文を表示できる。電話帳アプリは、画面中央の写真をめくるように指先をスライドさせると次の候補が出てくるが、同時に画面右に縮小表示された顔のアイコンが一覧で並ぶため相手を探しやすい。

メッセージアプリケーションは視覚的にもユニーク。封筒を実際に扱うように操作することでメッセージを表示することができる

電話帳は「回転式名刺入れ」のようなイメージだ。指先をスライドさせてめくることができる

そしてiPhoneでおなじみの写真やWebページをズームイン・アウトする機能がHTC Diamondにも備わっている。iPhoneは画面を指先でつまんだり、開くようにする動作でズームイン・アウトが行えるが、HTC Diamondの場合は画面上で指先を右に回すとズームイン、左に回すとズームアウトとなる。また、画面下のセンターボタン周辺も同じくセンサーになっており、ここを指先で回しても同様の操作が出来る。iPhoneは「つまむ」動作が必要なためどうしても両手を使う必要があるが、HTC Diamondならば片手で本体を持ったまま親指の動作だけでズーム(拡大縮小)とパン(平行移動)の操作が出来るわけだ。もちろん、モーションセンサーも搭載しており、本体を横に向けることで、写真やWebページの表示を自動的に横向きに切り替えられる。

写真の拡大縮小は画面上で指先を回すだけ。右に回すとオリジナルサイズ(左上)より画面表示が拡大される。また、本体を持ちながら本体下のセンターボタン周りを片手の親指で同様に操作することも出来る

モーションセンサーを利用したゲームも搭載。本体を上下左右前後に動かし、ボールを緑色の穴まで導くという単純なもの。しかしボールが壁に当たるとバイブレーションが振動し、あたかも本物のボールを操作しているような感覚を受けられる

追加のアプリケーションも専用メニューに登録し、指先操作で利用できる

もちろん標準のWindows Mobileインタフェースも搭載している

他社も追従するタッチインタフェース

HTCだけではなく、他社からも同類のタッチインタフェースを搭載したWindows Mobile端末がいくつか展示されていた。たとえばASUSTeK Computerが来月発売する予定の「P560」は一見するとクラシカルなメニュー画面表示だが、画面下のアイコンは指先のスライド操作で回るように動く。また画面上のメニューを指先で上下にスライド操作すると、iPhoneのように「ちょっと行き過ぎる」という、直感的な動きを実現している。HTC Diamondとはまた違った動作体系だが、10分も操作をすれば後は身体が自然に操作を覚えるようで、こちらも使いやすそうだった。

今後iPhoneが世界中で発売されるにつれ、これまで高機能端末を購入しなかった消費者も気軽にiPhoneを購入し、動画やWeb閲覧などを自然に利用していくようになるだろう。Windows Mobileスマートフォンも「ビジネス向け」という位置づけから一般消費者に販路を広げ、利用者により高度な使い道を提供していくためには、iPhoneライクなタッチインタフェースの搭載は有効な手段となりそうである。特にWindows MobileのProfessional版を採用するデバイスは元々タッチパネルを搭載していることから、あとは操作しやすいインタフェースを開発さえすれば、操作しやすい端末をそのまま市場に投入することができる。タッチインタフェースは今後ひとつのトレンドになりそうである。

ASUSのタッチインタフェースは画面下のアプリアイコンが回るように動く。また縦に表示されたメニュー項目は指先のスライドで上下移動できる

E-TENが開発中のタッチインタフェースは判りやすいアイコン表示が特徴的。カレンダーなどは指先のスライドで月めくり操作ができるようになるという