青少年の携帯電話使用にフィルタリングを義務付けるなどとしたネット規制法が11日、参議院の本会議で可決、成立した。今後は、ヤフーなど民間企業や日本新聞協会が懸念を表明した、有害サイト審査への国の関与の有無などが焦点となる。
同法の正式名称は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」。1年以内の施行が予定されている。
同法の内容は、ISPや携帯電話事業者に対し、親が解除を申し出た場合を除き、18歳未満の青少年が有害サイトを閲覧できないようにするフィルタリングサービスを義務付け。パソコンメーカーに対しても、フィルタリングソフトのプレインストールなど「フィルタリングの利用を容易にする措置」を義務付けている。ただし、これらの義務に違反した場合の罰則は設けない。
Webサイトの有害性を判定する機関としては、民間の第三者機関に任せるとし、国は直接関与しない。また、これらの機関が一定の要件を満たし登録を希望する場合は、国に登録することが可能としている。
こうした内容に関し、日本新聞協会は今月6日の衆院可決後、同法にフィルタリングの対象となる有害サイトの「例示」がなされていることについて「有害サイトの審査に国の関与の余地を残す」と批判する声明を発表。また、第三者機関の国への登録を可能とする規定についても、同様の理由で非難している。
また、マイクロソフト、ヤフー、ディー・エヌ・エー、ネットスター、楽天のインターネット事業者5社も9日、フィルタリング強制はフィルタリングの性格をゆがめるだけではなく、フィルタリングそのものの発展を阻害するとして同法を激しく非難している。
こうした懸念を考慮し、参議院では、同法の付帯決議として、「フィルタリングの基準設定の内容によっては、表現や通信の自由を制限する恐れがあることを認識し、その開発などに当たっては、事業者らの自主的な取り組みを尊重する」ことを決議。
さらに、「事業者などが行う有害情報の判断、フィルタリングの基準設定などに干渉することがないようにすること」も求めており、民間の第三者機関などによる自主的な取り組みに国が干渉しないよう求めている。
だが、付帯決議は法の運用に関し議会として要求するもので法律そのものではない。そのため、今後は付帯決議通りに法が運用されるかが焦点となる。