パイオニアは10日、60V型フルHDプラズマモニター「KRP-600M」を発表した。発売は6月下旬を予定しており、価格はオープン。市場価格は85万円前後と予想される。なお、同製品の50V型タイプとなる「KRP-500M」も、年末に向けて発表される予定。
KRP-600Mは、映画ファンなど、徹底的に絵の出方にこだわるハイエンドユーザーに向けた、プラズマモニター。搭載しているパネルは自社製で、同社によると、この世代の製品が自社製パネルを搭載する最後のモデルとなるとのことだ。パネルの表現力は、従来モデルである「PDP-6010HD」に搭載されていたものよりも、さらにアップ。黒輝度は1/5にまで低減されている。従来のKUROシリーズのコントラスト比は20,000:1だったので、今回のKRP-600Mのコントラスト比は、100,000:1ということになる。
パネルだけが高性能化したわけではない。市販されているテレビは、各メーカーにより、テレビの映像が美しく見えるように絵の出方を決められている。これに対して、モニター単体の製品であるKRP-600Mでは、絵の出方をユーザーの手で一から設定することが可能な「ディレクターモード」を搭載。標準状態ではまったく色調整やノイズリダクション、各種コントロールなどが行われておらず、すべてユーザーが決める。ディレクターモードの搭載に伴い、調整の精細さも大幅にアップ。輝度は、従来の60ステップから120ステップに倍増しており、色合いや色の濃さなどをきめ濃やかに調整できる。RGBの各色も、High/Lowを120ステップで調整できる、さらに、γカーブも3本から5本に増やされているなど、より微妙な調整が可能となった。
ここまで微妙な調整が可能になると、ユーザーが使いこなせるかどうか心配になるが、同社によると、同機能は自分の中にはっきりとした色の基準を持っているユーザー向けとのことで、そういったユーザーが機能を駆使すれば、映画館で見られるものと全く同じ色を再現するということも不可能ではないとのことだ。 精密な調整をサポートするため、カラーバーなどで色調整を行う際に、濃さや色合いを視認しやすくするブルーの単色表示も可能。さらに調整前と調整後を、リモコンのボタンひとつで切り替え表示可能な「Before/After」機能も搭載されている。
なお、KRP-600Mにはチューナーはもちろん、スピーカー、スタンドも搭載されていない。オプションとして、2Wayバスレフ方式のスピーカー「KRP-S02」が発表されているが(6月下旬発売予定、オープン価格:市場価格2本で4万円前後)、製品の性格からすると、LXシリーズのAVマルチチャンネルアンプとS-LXシリーズやAシリーズといったスピーカーなどとを組み合わせてシアターシステムを構築するというユーザーのほうが多いだろう。もちろん、KRP-600MはKURO LINKにも対応しているので、これらの機器を組み合わせた場合でもスムーズな操作が可能だ。また、付属リモコンは学習式となっており、CECに対応していない機器でも、コントロールが可能となっている。
そのほかの別売りオプションとしては、テーブルスタンド「KRP-TS01」(5万1,000円)と壁掛け金具「KRP-WM01」(4万2,000円)が用意され、いずれも6月下旬に発売予定だ。