京都国立博物館はこのほど、坂本龍馬に関する所蔵品を展示する「特集陳列 坂本龍馬」を7月23日より開催することを発表した。同館では龍馬の書簡や刀、海援隊関係資料などを所蔵しており、これらの展示を通して龍馬の人間性や幕末の事態模様を描き出すという。開催期間は8月31日まで。

重要文化財 坂本龍馬書簡のうち 霧島山登山図 京都国立博物館蔵
龍馬は寺田屋で負傷した後、鹿児島の温泉で傷の養生をし、さらに霧島山高千穂峰にふたりで登った。その様子が山の絵入りで細かく記されている部分

展示物の中には、龍馬が姉に向けて書き送ったとされる「亀山社中(後の海援隊)がお金に困っていたら薩摩の小松帯刀が出してくれた」という趣旨の手紙などがあるとのこと。小松帯刀とは、2008年のNHK大河ドラマ『篤姫』で篤姫の幼なじみとして登場する「肝付尚五郎」の後の名前。龍馬はさらに別の書簡では西郷吉之助(隆盛)について「おおいに心のよい人だ」と評しており、こうした手紙から龍馬と薩摩との人脈の太さや細やかな人間関係がうかがえる。

さらに今回の展示では、今年が明治維新140年に当たる節目の年であることから、龍馬の死後の「鳥羽伏見の戦い」にも焦点を当て、遠藤蛙斎による絵巻『伏見鳥羽戦争図』も展示されるとのこと。くしくも2010年の大河ドラマは坂本龍馬の生涯を描くものになると発表されたばかり。今回の特集陳列を通して龍馬の人物像と彼が開こうとした日本の近代史の始まりを今から学んでおきたい。

刀 銘吉行 伝坂本龍馬佩用 京都国立博物館蔵
坂本龍馬の刀としてよく知られているもの。茎に目釘孔がひとつあり、「吉行」の銘が刻まれている
重要文化財 書画貼交屏風(血染めの屏風) 京都国立博物館蔵
龍馬が惨殺された近江屋二階の部屋に置かれていた屏風。左下の猫図の付近に多数の血液が付着している