日立アプライアンスは9日、ビルトインタイプのIHクッキングヒーター、「サイレントケムレス」シリーズ17機種を発表した。発売日は8月1日を予定している。
同社のIHクッキングヒーターは大出力が特徴。HT-C20では、左右のIHヒーターがオールメタル対応で、鉄・ステンレスなべの場合には3.0kW、アルミでも、2.6kwという高出力を持つ。
HT-20系のモデルは、左右とも、鉄ステンレス3.0kW、アルミ2.6kWのハイパワー |
4つのサーミスタに加えて、サーモパイル式の赤外線センサーを備えたことで、瞬時になべ底の温度を検知することが可能に |
オールメタルを実現するために一般的に採用されている手法は、ガラスのトッププレートの下に、金属板を入れ、なべだけでなく、その金属板も加熱することによって、非鉄金属のなべでも、十分な熱量を得るというものだ。ところが同社のIHクッキングヒーターには、そのようなプレートはいっさい使用されていない。純粋に、IHコイルの上にのせられたなべのみが発熱する。同社では、この手法を「ピュアIH」と呼んでいるが、IHコイルで、なべだけを加熱するこのピュアIHでは、ガラスのトッププレートが食材やなべの温度以上に加熱されることはない。そのため、煮物などの際にふきこぼれたとしても、ガラス面にこびりつくことがないというメリットがある。同社によると、IHヒーターを手がけてから、このピュアIHを実現するまでに、3~4年の期間が必要だったとのことだ。
新モデルでは、センサーの高度化も大きなポイント。従来の同社のIHクッキングヒーターでは、ガラスに伝わる温度を検知するセンサー(サーミスタ)を、1つのヒーターにつき4基使用していた。新モデルでは、これに加えてサーモパイル式の赤外線センサーを搭載。ガラス版を透過して、ダイレクトになべ底の温度を測定することが可能となった。
同センサーは、150°Cから上の温度を、素早く検知する。写真は、IHヒーターの上に、底に温度センサーを取り付けたフライパンをのせ、取り付けられたセンサーが検知した温度と、IHヒーターに内蔵された赤外線センサーからの温度とを、データロガーでリアルタイムにグラフ化したものだ。黒のラインがフライパンの底の温度センサーで、赤のラインが本体内の赤外線センサー。150°Cまでは、赤のラインは反応しないが、温度がそれ以上になると、赤と黒のラインは同期する。黒と赤のラインが離れている箇所は、フライパンをプレートから持ち上げたところで、このような場合も瞬時に追随する。フライパンがプレートからいったん離れると、その温度は低下する。指定した温度よりも低いことをセンサーにより検知すると、ハイパワーのIHヒーターにより、加熱が行われるという仕組みだ。
写真は、冷凍のコロッケを、油を入れたてんぷらなべに投入したところだ。普通ならば、油の温度が低下するところだが、立ち上がりの速いIH+PAMの組み合わせとセンサーの働きにより、180°Cがキープされる。
さらに特筆すべきは、グリルの性能の高さだ。サイレントケムレスシリーズに搭載されるグリルは、「水なし自動七輪交互焼き」とネーミングされた独自の加熱パターンを採用する。まずは、下からの加熱を行い、庫内の温度を素早く上げ、表面を焼き上げたあと、続いて上からの加熱に切り替えて焼き色を付け、最後に再び下からの加熱を行うというもので、上と下とを交互に、つまり七輪で魚をひっくり返しながら焼いているのと同じような仕上がりになる。なお、サンマならば5匹を、縦に並べて焼くことが可能だ。
主な仕様と価格 | ||||
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型式 | タイプ | 幅 | レンジフード連動 | 価格 |
HT-C20TWFS | ダブルオールメタル対応3口IH | 75cm | ○ | 41万8,950円 |
HT-C20TWS | ダブルオールメタル対応3口IH | 75cm | - | 41万4,750円 |
HT-C20TFS | ダブルオールメタル対応3口IH | 60cm | ○ | 39万7,950円 |
HT-C20TS | ダブルオールメタル対応3口IH | 60cm | - | 39万3,750円 |
HT-C10TWFS | シングルオールメタル対応3口IH | 75cm | ○ | 37万1,700円 |
HT-C9TWFS | 鉄ステンレス対応3口IH | 75cmワイド | ○ | 31万9,200円 |
HT-C8WFS | 鉄ステンレス対応2口IH+ラジエント | 75cmワイド | ○ | 29万8,200円 |