アウディは6月14日~15日に開催される2008年ルマン24時間耐久レースに、バイオフューエルを燃料とする3台の「アウディ R10 TDIプロトタイプ」を世界で初めて投入する。このバイオフューエルは、バイオウェイスト(生物系廃棄物)から製造されたもので、従来の軽油と比較した場合、CO2排出量が90%近く低減されると期待されている。

アウディ R10 TDIプロトタイプ

R10 TDIプロトタイプのエンジン

アウディは2006年から650ps以上の最高出力を誇る「R10 TDI」をルマン24時間レースに投入し、2年連続で総合優勝を飾っているが、参戦当初からテクニカルパートナーであるシェルと共同開発したシェルVパワー ディーゼル レース燃料を使用している。これは天然ガスをベースに、GTL(Gas to Liquids)と呼ばれるプロセスを経て合成された、ハイパワーと高効率を兼ね備えた燃料であり、すでに一般にも市販されているもの。

今年、ルマン3回目の参戦となるアウディR10 TDIには、従来同様のGTL燃料のほか、世界初となる次世代バイオフューエルが少量混合される。正式にはBTL(Biomass To Liquids)と呼ばれるこの燃料は、木材の廃材などのいわゆるバイオウェイスト(生物系廃棄物)から製造される燃料。従来型軽油と比較して、CO2排出量が90%近く低減されると見込まれている。

BTLとGTLは、原材料こそ異なるが、ともに有力な代替燃料であり、硫黄を含有せず、無臭であるなどの共通点を持っている。品質や燃焼効率が高く、有害排出物を低減させる効果も持ち合わせている。

新燃料を用いたアウディR10 TDIプロトタイプはベンチテストやサーキットテストで順調に仕上り、6月1日のルマン公式テストの場でデビュー。今年のルマン24時間レースには、アウディスポーツ チームヨーストがエントリーする3台のマシンと9名の公式ドライバーが参加擦る予定。