セガは5月30日、東京都内にて「ワールド・デストラクション プロジェクト」の発表会を行った。本プロジェクトは、セガ発の新規コンテンツとして、2008年夏より「ゲーム」「TVアニメ」「コミック」など、幅広いメディア展開が予定されている。

ヒットするツボはすべて押さえた自信のプロジェクト

「ワールド・デストラクション」は、セガが万全を期して立ち上げるプロジェクトであると語る、セガ取締役国内CS事業部長の前田雅尚氏

発表会ではまず、セガ取締役国内CS事業部長の前田雅尚氏が登場。まず、ゲームを中心とした市場全体を振り返り、「セガは、多様化するユーザーニーズ、新しいトレンドに上手に、ライトタイミングで、駒を打っていくことにより、ユーザーの満足度を高めて、市場をリードしていきたい」とし、チュンソフトと手を組んで開発を進めている『風来のシレン3』などを例にとりながら、「これから、今までにもまして、積極的に他社のクリエイターさんたちと組んでやっていくつもりです」と語った。また、「今年度は、全体の戦略においてRPGに力を入れていきたい」と語るなかで、先陣を切ってリリースするタイトルとして、当日の主題でもあるニンテンドーDS向けの『ワールド・デストラクション ~導かれし意思~』が紹介された。前田氏は、「作品が良いというのは当たり前。しかし、ゲームだけという枠に囚われていたら、なかなか広がりを持つのが難しい。ゲームだけでなく、あらゆるメディアに網を張り、そこからそれぞれのターゲット層を吸い上げ、そしてプロジェクト全体を極大化するというのが、特にRPGというジャンルでは重要だと捉えている」とし、プロジェクト全体に対して「ヒットするツボというものがあるなら、そのツボは全部押してるんじゃないかなという風に自負している」と語るなど、作品に対する大きな自信を伺わせた。

各分野の最高のクリエイターたちが魂を込めた

プロジェクト全体を統括するセガの下里陽一プロデューサー

前田氏の後、プロジェクト全体を統括するプロデューサーの下里陽一氏が登場し、多方面に展開する本プロジェクトの全容を解説した。下里プロデューサーはまず「ゲーム」について、「本作は古きよき時代のRPGテイストと、新規性のあるシステムを融合し、新鮮かつ誰もが楽しめるようになっている」と語り、「リメイクではない新規RPGタイトルを幅広いユーザー層を誇るニンテンドーDSで立ち上げ、ゲームだけではなく、TVアニメ、コミック連載へとクロスメディア展開していく」とプロジェクトの流れについてを解説した。

左から「ゲーム」「TVアニメ」「コミック」のロゴ。すべてサブタイトルが異なっているところに注目

こちらはメインビジュアル。キャラクターデザインもそれぞれ味のあるものになっている

「ゲーム」「TVアニメ」「コミック」といった3つのメディアで展開されることについて下里プロデューサーは、「ただのクロスメディア展開ではなく、ゲーム、コミック、TVアニメで、キャラクターや世界観は同じにしつつも、ストーリーの一部で独自のアレンジを加えることで、三者三様、誰でも楽しめる内容になっている」とする一方、これらを並行して進めていくのには困難が予想されたが、「各分野の最高のクリエイター陣が集結し、それぞれの作品を、魂を込めて作り上げた」と語った。

「ゲーム」のプロモーション映像が流された後、下里プロデューサーは「本作では"砂"がひとつのキーワード。この世界では"水"で構成された海はなく、赤や青といった特殊な色がついている。また、"砂"自体に特殊な効果があり、そこに住む住人たちは、この"砂"を利用して生活している。そしてこの"砂"こそが世界の秘密の一端となる」と語り、「この世界は人間が獣人に支配される世界で、ゆがんだ世界を取り戻したいという人間と、今の秩序を守りたいという獣人の対立が背景にある。主人公が所属する『世界撲滅委員会』の立場から『世界救済委員会』に立ち向かうという、通常のRPGにはない、反対の対立構造となっている」と、「ワールド・デストラクション」の独特な世界観を解説した。

ワールド・デストラクションの世界を作る主要キャラクター

キリエ・イルニス (cv:宮野真守)
この物語の主人公で、世界撲滅のキーパーソンとなる存在。性格は温和。自己主張はあまりしないが、思ったことは素直に口に出す。一度交わした約束は、何があろうともやり遂げようとする。世界の情勢にまったく無関心だったキリエだが、モルテたちと行動するうちに世界のゆがみと美しさを同時に知っていく。そして、やがて自分の存在意義を知ることになる
モルテ・アーシェラ (cv:坂本真綾)
世界撲滅委員会に所属する、この物語のヒロイン。キリエを世界撲滅の旅に導くことになる。性格は、大胆で過激で明るくおおらか、なにより楽しんだもの勝ちという考え方だが、世界を撲滅しなければならない、という強い使命感も持っている。色恋沙汰については不得手で、そういう話をされると変な行動を取る。しかし、一度自分の気持ちに気づくと、あとは突っ走る
アガン・マードル (cv:吉野裕行)
獣人から人間を解放する、という目的を持つゲリラ組織"黄金の獅子"の副リーダー。モルテとは幼なじみで、やがてキリエたちと行動を共にするようになる。心根はまっすぐだが、青臭い自分をあまり見せたくはないので、ちょっとシニカルなところを持つ。面倒見は良く、幼なじみであるモルテのことはもちろん、知り合ったキリエにも目をかけてやる兄貴的存在
リ・ア=ドラグネール (cv:市川由衣)
獣人。竜族の最後のひとり。外見年齢は15,6歳だが、実際は300年以上生きていて、ときに長命種ならではの含蓄に富んだセリフがでる。性格は楽しいこと大好きで飽きっぽい。が、竜族の使命でもある、世界の最初と最後に関わる、という役目だけはちゃんと守ろうとする。そのため、世界撲滅のカギを握るキリエに付いて行くことになる。怒ると獣人化し、角が出る
ナジャ・グレフ (cv:水嶋ヒロ)
獣人。世界撲滅を防ぐことを目的とする世界救済委員会の隊長格。オオカミ族(父)と人間(母)のハーフ。性格は外見どおり理知的。そして、世界を守るという理想のために努力する。しかし、融通の利かないところがあり、自分の考えを常に正しいと信じてしまうところがある。キリエを、世界を滅ぼす倒すべき敵としてみなし、キリエたちの前に立ちはだかることになる
トッピー・トプラン (cv:古谷徹)
勇者ギルド所属の流れの賞金稼ぎ。外見はかわいらしいクマのぬいぐるみのようだが、凄腕。性格はハードボイルドで孤高の存在。馴れ合いはせず、自分のみを頼る。トッピーにとっては、撲滅委員会も世界の撲滅も興味はないが、キリエに付いて行くことが正しいことと直感し、それに従って行動する。無垢な存在であるキリエの先生役でもある。語尾に「クマ」を付ける
※各設定ならびにcvはゲーム版


TVアニメとコミックでも「ワールド・デストラクション」は展開

多田俊介監督。TVアニメ版はプロダクション I.Gで新しく立ち上げられた第10課で制作されている

クロスメディア展開については、まずTVアニメ『ワールド・デストラクション ~世界撲滅の六人~』の多田俊介監督が登場。TVアニメ版について多田監督は、「登場するキャラクターたちがとっても魅力的なファンタジーの世界のデザインになっているので、そのキャラクターたちがアニメーションの中で生き生きと動いてくれるといいなと思い、そういった部分をメインに制作している」とし、アニメの見どころについても、「6人の主要キャラクターたちの、ゲームの中ではストーリーの合間にあるようなエピソード、楽しい話だったり、悲しい話だったりする、そういったキャラクター性が前面に出るようなストーリーを作っている」と語った。

なお、TVアニメ『ワールド・デストラクション ~世界撲滅の六人~』は、プロダクション I.Gによって制作されており、7月7日より、毎週月曜日深夜1時30分よりテレビ東京系にて放送される。

TVアニメ『ワールド・デストラクション ~世界撲滅の六人~』スタッフ
原作・企画 / セガ●監督 / 多田俊介●シリーズ構成・脚本 / 横谷昌宏●キャラクターデザイン / 松本圭太●サウンド / 池 頼広●音響監督 / 三間雅文、中嶋聡彦●音響制作 / テクノサウンド●アニメーションプロデューサー / 黒木るい●プロデューサー / 服部豊和、上田晃●アニメーション制作 / プロダクション I.G●製作 / WD製作委員会
TVアニメ『ワールド・デストラクション ~世界撲滅の六人~』キャスト
キリエ・イルニス / 宮野真守●モルテ・アーシェラ / 坂本真綾●トッピー・トプラン / 古谷徹●リ・ア=ドラグネール / 小林ゆう●ナジャ・グレフ / 小野大輔●アガン・マードル / 吉野裕行 ほか

もうひとつのキーとなる「コミック」については、『ワールド・デストラクション ~ふたりの天使~』というタイトルにて、7月26日発売の「電撃「マ)王 9月号」(アスキー・メディアワークス刊)から、ムラオミノル氏による連載が開始される。同誌の豊島編集長は「コミック連載というとどうしてもスパンが長くなるので、ゲームやアニメとちがって、じっくりと『ワールド・デストラクション』をコンテンツとして育てていけるお手伝いができれば」と語った。

次ページでは、本プロジェクトの基幹となる「ゲーム」の解説と、発表会に登場した豪華なゲスト陣についてを紹介しよう。