メディオディアが開発した「Pen Grand Master」(ペン・グランド・マスター)は、プロジェクターで投影した映像に、ペン型の入力デバイスで文字や絵を直接描けるという製品だ。ペンの動きを感知する小型Webカメラのような検出ユニット(USBでPCに接続)とペン本体で構成され、持ち運びにも便利だ。

「Pen Grand Master」(ペン・グランド・マスター)

ペンの動きを感知する小型Webカメラのような検出ユニットと、ペン本体で構成される。検出ユニットは、USBでPCに接続する

Pen Grand Masterの主な仕様用途は、会議や講演、デモンストレーションといった、プレゼンテーションの場だ。

最近は、「PowerPoint」で作成したスライドをスクリーンに投影して表示し、遠隔操作でスライドを操作したり、レーザー光線を使って、重要箇所を示したりするポインティングデバイスを目にすることも多い。Pen Grand Masterは、そうしたツールと同様の機能に加え、描画ができるというのがポイントだ。要はペンを使ってデスクトップを遠隔操作でき、投影した映像を介したPC用の入力デバイスと考えることができる。ペンを使ってPowerPointのほとんどの機能の操作が行えるほか、Windowsで動作するものならアプリケーションは問わず、可能な操作はアプリケーションに依存する。

動画 - 「Pen Grand Master」
「Pen Grand Master」(ペン・グランド・マスター)を使うと、投影した映像に直接情報を描ける

ペンツールを使った描画は、ペンから発せられるレーザーの動きを検知して行われるため、壁やスクリーンなど映像が投影された先と、ペンが直接接触しているか否かは関係ない。宙に浮いた状態でも、壁やスクリーンと接触した状態でも描画は可能だ。ただし、空中でペンを動かして描画するには、投影された映像との距離感をつかむのにコツが必要なので、投影先の物体と接触させて描くほうがずっと簡単だ。身体や手で影ができると、ペンの動きを感知する機能の妨げとなるため、ペンの先端を45度程度壁側に寝かせる感じに若干傾けながら描画しなければならないが、黒板にチョークで描画する感覚に近いので、違和感なく誰でもすぐに使えるはずだ。

さらに描画したデータは保存することも可能。PowerPoint上なら、描画したデータはイメージファイルとして保存される。他のアプリケーションの場合はイメージファイルとしてキャプチャでき、BMPやGIFなどの形式で保存し、メールに添付してその場で送信することも可能だ。Pen Grand Masterに同梱されている「InfoPen」という描画ソフトを使えば、デスクトップ上に自由に描画できる。

もちろん、スクリーンや壁でなくても、映像の投影先はどこでも構わない。プレゼン用途以外にも、イベントなどアイディア次第で様々に活用できそうだ。ペインティングソフト画面を壁に投射し、アーティストがその上にペンで自由にイラストを描いたりする、インスタントレーション系のアート展覧会などを行ったりするのも楽しいだろう。ただし、対応できるスクリーンのサイズは60インチから150インチ程度で、ペンが発するレーザーポインターの動作範囲は10メートルなので、その範囲内に制限されてしまい、ビルの壁面に映像を投射して落書きをするといった使い方は難しいのがやや残念だ。

またデータ保存が可能というメリットは、印刷機能付きホワイトボードが不要になることも意味する。Pen Grand Masterなら、ホワイトボードのように専用ペンなどの消耗品も必要がないので、経済的でもある。事前に用意した会議用資料などを改めてホワイトボードに書き写すといった面倒な作業もカットでき、PC上のデータをそのまま利用できるのもうれしい。ペンデバイスが165×28×35ミリ、検出ユニットが107×43×58ミリという気軽に持ち運べるサイズ、しかもPCと小型プロジェクターさえあればどこでも利用できるため、あらゆる場所を会議室に変えられる。

Pen Grand Masterを開発したメディオディアは、名古屋市に拠点を置く商品企画のベンチャー企業。代表取締役の天野正己氏は、元ソニーの技術者で、海外と日本を結ぶビジネスを展開。技術はあってもマーケットを持たない企業と、新しいリソースを求めている企業の橋渡しを目指し、先端テクノロジーからライフスタイルビジネスまで手がけている。Pen Grand Masterも、もとは台湾のベンチャー企業が開発した商品で、それを同社がカスタマイズを行い、日本市場向けに製品化を行ったという。

Pen Grand Masterの動作に必要なPCのシステムのスペックは、CPUが1GHz以上、メモリが512MB以上。対応OSはWindows 2000 / XP / VISTA。そのほか、検出ユニットの接続にはUSB 2.0を推奨している。

価格は8万4,000円。5月12日からは、自社直販のほか、全国に店舗を構える大型書店の丸善の法人向け事業展開をしている教育・学術事業本部が取り扱いを開始しており、丸善の外商・直販でも購入できる。