Microsoftの次期クライアントOS「Windows 7」(開発コード名)の姿が少しずつ見え始めてきた。米国時間の5月27日にWindows Vista Teamのブログを通じて、開発が明らかにされたのに続いて、同日夜にはカリフォルニア州サンディエゴ近郊で開催されている「D6」でユーザーインターフェイスの一部のデモンストレーションが行われた。その様子はAll Things Digitalのビデオページで公開されている。さらにMicrosoftは、今年秋に米カリフォルニア州ロサンゼルスで開催する開発者向けイベント「Professional Developers Conference 2008 (PDC2008)」のセッション・スケジュールの一部を発表した。Windows 7関連のセッション4本が含まれている。
タブレットPCでWindows 7のマルチタッチをデモ
D6でのWindows 7のデモは、テーブル型タッチ・コンピュータ「Surface」にも採用されているマルチタッチ機能だった。まずペイント・ツールを使って、10本の指をそれぞれ筆のようにして同時に線を描いてみせた。続いて、写真に触れてドラッグしながら移動させたり、両手を使って拡大・縮小や回転を行った。マルチタッチについてデモンストレーションを担当したMicrosoftのスタッフは、写真を机の上に並べてながめるような自然な操作感を強調したほか、デモ機がDellのタブレットPC「Latitude XT」であると紹介。シングルタッチとインク技術用の既存のハードウエアでも動作する互換性を指摘した。
続いてデスクトップを想定した液晶タッチ・ディスプレイを接続したデモ機に変えて、マップ・アプリケーションを使ってマルチタッチ操作でカフェを検索し、サテライト・モードでシーワールドを表示した。画面にしばらく触れていると画面上にメニューが現れるので、そこから検索や表示モード切替を選択する。マウスやキーボードに一切触れることなく、すべてを両手を使ったタッチ操作だけで行ってみせた。最後はディスプレイに表示されたピアノの鍵盤に触れて演奏し、デモ終了となった。
マルチタッチはまるで昨年のD5で披露されたSurfaceのデモを見ているようでもあり、Windows 7のデモというには物足りないものだったが、これはプレビューである。Microsoft CEOのSteve Ballmer氏は「Windows 7のほんの断片にすぎない」と述べていた。
PDC2008のWindows 7関連セッションは……
Windows 7のプレビューデモを披露した後に、Microsoftは2008年10月27日~30日に開催するPDC2008のWebページをオープンさせた。テクニカルセッションは160本以上になる予定で、そのうち33本の内容が発表された。現時点でWindows 7関連のセッションは「グラフィックス・アドバンス」「電力効率とバッテリライフのための最適化」「タッチ・コンピューティング」「ネイティブコードでのWebサービス」の4本。セッションの説明によると、Windows 7では、SOAPベースのWebサービス構築をサポートする新ネットワーキングAPIが導入されるという。これらを考え合わせると、アプリケーションとのインタラクト実現が大きなポイントの1つであるのが分かる。今回のデモでは、マップ・アプリケーションのデモで"ライブデータを使ったやり取り"をマルチタッチで行ったところだ。また電力効率向上とWebサービス重視から、モバイルを重要なカテゴリと捉えていることも伝わってくる。
なお基調講演については、4本のうちオープニング講演をチーフソフトウエアアーキテクトであるRay Ozzie氏が担当することが発表されている。